48歳美容家・石井美保さん「30代まで自分の肌が好きじゃなかった」…飲まず食わずで「極度の乾燥肌」だった彼女が美肌になった方法
ビジネスで信頼されるための美肌
ーーその後、29歳でまつげサロンを開業されました。当時はどんな状況でしたか? まつげサロンを開業したばかりの30代前半は、朝から夜まで飲まず食わず、トイレにも行かずのサロンワーク。トイレに行く時間がないから水も飲めず、夜10時過ぎに家に帰って、自分へのご褒美としてケーキだけ食べて寝る、ということを当時は普通にしていました。顔はさらにくすんでしまい、顔も髪もパサパサ。とにかくお客様のため、食べていくための毎日でした。 でも、サロンに来てくださるようなお客様は美意識の高い方が多く、世代を問わず綺麗な方を見ていて「あ、肌は年齢じゃない」と思ったんです。丁寧な生活や正しいスキンケアをしてる人は何歳でも綺麗だし、逆に言えば、若い子でも不摂生だったり間違ったスキンケアをしていれば肌トラブルを起こしたりしている。そこで、お客様たちにスキンケアのポイントや美しさの秘訣を伺うようになりました。 そうしている内に、私も、肌がくすんでパサパサで自信がないままお客様に向き合うよりも、ちょっとでも肌の調子がいい時の方が自信が持てるなと実感したんです。お客様からしても、美容サロンに初めて訪れてくすんだ人とツヤツヤのピカッとした人が出てきたら、どちらに施術をしてもらいたいかというと、ツヤツヤな人ですよね。だから、「肌」はお客様に一目で信頼してもらうための「説得力」に成り得る。 実はこれって、ビジネスや日々の生活でも同じだと思うんです。肌の調子が悪い時って、相手の目を見て話すのをなんとなく避けてしまいませんか? 反対に肌が絶好調の時は、「私を見て!」という気持ちで自信を持って対話ができるような気がします。「肌のコンディション」は、コミュニケーションにおいてもとても大切な要素なんだと気が付きました。 ーー過酷な生活のなかで「気づき」を得られてから、石井さんの肌についての考え方はこれまで信じ込んでいたものとは一転して変わっていきました。 私が信条としている「こすらなければ肌は生まれ変われる」ということに気づいたのは、サロンでまつげエクステの施術を始めたことがきっかけでした。当時は、まつげエクステを「長持ち」させるのが難しく課題感があり…。何か対策がないものかと開発したのが、押し洗いするだけで汚れやメイクが浮き上がって落とせるオイルフリーの泡タイプ洗顔でした。その結果として、思わぬ「副産物」がありました。まつげエクステはお湯に弱いため、とにかく揺らさないように優しく洗顔していたら、乾燥が抑えられたりくすみが改善したりと、自分の肌がみるみる変わっていったんです。短期間でここまで変わるなら、積み重ねていけば40歳、50歳になった時に肌に悩まないで済むようになるのではと、そこから研究を重ねていきました。 ーー新刊『こすらなければ、美肌』では、石井さんが実践されている、この「こすらない美容法」がエッセンスとなっています。 実は、「やめたこと」で変わったことの方が大きいんです。お話しました通り、私自身、肌を当たり前にこすってきました。とにかく力強くゴシゴシ落とすことで白くなれると思っていたし、水も飲まず座ったままのサロンワークだったので、いつもむくんで顔が大きかった。小顔になりたいあまり、強くマッサージをすることも…。それらすべてをやめたことで、逆に顔が小さくなるという現象が起きたんです。