黒い雨を浴びた3歳の少女 記憶が問いかける原爆の真実 【長崎・被爆体験者訴訟】
おつかいの帰り道、勝子さん達3兄弟の頭上を飛行機が飛んで行きました。3人はとっさに地べたに伏せたと言います。閃光と爆風が襲ったのはその後でした。 「突然爆風が吹いたんです。ピカ!どん!やった。大地がゆらゆら揺れました」 ■真っ赤に染まった空 「私は爆風が化け物だと思ったんです。『言うこときかんと化け物が出てくるぞ』と言われよったもんですから。だから怖くて泣きだして歩かないって駄々こねて。姉に防空壕までおんぶしてもらいました。姉はまだ小学1年生。小さな体で私をおんぶして」 防空壕の前まで来た兄弟3人。ふと長崎の方を振り返ると、空が異様なほど真っ赤に染まっていました。 「長崎の方を見たら、真っ赤に、夕焼けよりももっと赤かった。『夕焼けかな?』『夕焼けじゃないよね、昼やから』って話して。そしたら姉が『あれはなんやろなー』って言うんですよね。『昼なのに、お星さまじゃないし、お月様じゃないし』ってつぶやいてる」 「恐る恐る見上げると、きらきら光ってた。燃えたのが暗闇の中飛んでる、燃えながら飛んでたんです」 ーそして、空から「真っ黒な雨」が降ってきました。 ■3人ともずぶ濡れに 「ずーっと雨が降ってきて、3人ともびしょ濡れです。服全部びしょ濡れで、防空壕の中にいたおばちゃんから『あんたたちは雨の降りよるとにそこで何しよっとね。はよ入らんね』って手招きされて、はってなって、防空壕に入りました」 「姉のスミ子は白い服着てたもんですから、雨で背中にピタッと燃えかすがくっついいて、おばちゃんに『あんたスミちゃん、0点か」って。背中に飛んできた答案用紙が雨でくっついてたんです。おばちゃんが『あー違う違う。これは100点って書いてる』と言ったんです」 被爆体験者たちは、原爆の炸裂で飛び散った「放射性物質」が被爆地域を超えて雨や灰、微粒子として広範囲に降り注ぎ、さらに呼吸や飲食によって体内に入って、内部被ばくを引き起こした可能性を訴えています。