根本厚労相が勤労統計問題で会見(全文)組織的隠蔽はないと思う
根本匠厚生労働相は11日、閣議後に記者会見を開いた。根本厚労相は、賃金や労働時間、雇用の変動を把握するために実施している「毎月勤労統計調査」の実態について、「東京都の500人以上規模の事業所を全数調査するとしていたところ、平成16年から一部抽出調査で行っていた」などと説明するとともに、「国民の皆さまにご迷惑をお掛けしたことを心からおわび申し上げます」と陳謝した。 【動画】根本厚労相が閣議後会見 勤労統計の不適切調査を説明へ ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「根本厚労相が閣議後会見 勤労統計の不適切調査を説明へ」に対応しております。 ◇ ◇
勤労統計調査の実態と今後の対応
根本:まず最初に私のほうからお話をいたします。毎月勤労統計調査において、全数調査するとしていたところを、一部調査で行っていたこと、および雇用保険制度等における追加給付についてであります。 毎月勤労統計調査について、全数調査することとしていたところ、平成16年から一部抽出調査で行っていたこと等の件について申し上げます。政策立案や学術研究、経営判断等の礎として、常に正確性が求められる政府統計について、こうした事態を引き起こしたことは極めて遺憾であり、国民の皆さまにご迷惑をお掛けしたことを心からおわび申し上げます。今後、今般の事案の原因を明らかにするとともに、厚生労働省として統計に関する姿勢を正し、同時に、国民の皆さまに対して必要な追加給付を行うなど、しっかりと取り組んでいく決意であります。 毎月勤労統計調査は、雇用、給与、および労働時間の変動を毎月明らかにすることを目的とし、調査対象事業所を厚生労働省が抽出し、都道府県への通知により指定し、調査しているものであります。まず、確認された事実の内容ですが、東京都の500人以上規模の事業所について、全数調査するとしていたところ、平成16年以降、厚生労働省から東京都に対し、厚生労働省が抽出した事業所名簿を送付し、当該名簿につき抽出調査を行っていること。また、平成29年までの間、抽出調査が行われていた東京都の分について、抽出調査であれば統計的処理として復元しなければならないところが行われていなかったことなどが確認されました。その結果、平成16年から29年までの決まって支給する給与などの金額が低めになっているという影響がありました。 今後の対応といたしましては、必要なデータ等が存在する平成24年以降について復元を行い、再集計値として公表します。また必要な追加給付を行うため、決まって支給する給与について、毎月勤労統計調査を基礎として加工した給付のための推計値を公表します。毎月勤労統計調査については、正確性、継続性に留意しつつ、今後、早急に適正な取り扱いとなるようにいたします。また、これまでの調査は、事実の把握等を優先に行ってきましたが、さらに動機、目的、職員の認識などに力点を置いた調査を続け、その結果を踏まえ、こういった事態を二度と起こさないよう徹底した再発防止策を講じることといたします。 次に雇用保険、労災保険、船員保険における追加給付について、ご説明いたします。雇用保険、労災保険、船員保険の追加給付についてですが、毎月勤労統計調査の平均給与額の変動を基礎として、スライド率などを算定している、これらの制度などにおける給付額に影響が生じています。このため、平成16年度以降に雇用保険、労災保険、船員保険の給付を受給した方の一部、および雇用調整助成金など、事業主向け助成金を受けた事業主の一部に対し、追加給付が必要となりました。 厚生労働省としては、国民の皆さまに不利益が生じることのないよう、平成16年以降、追加給付が必要となる時期にさかのぼって、追加給付を実施することといたします。関係のコンピューターシステムの改修や、住所等の確認など、正確な支給のための最低限の準備を経て、対象者の特定、給付額の計算が可能なケースから、できる限り速やかに順次追加給付を開始することを予定しています。また、本日、専用の問い合わせ専用ダイヤルを開設するなど、国民の皆さまからのご照会、ご相談に、きめ細かく対応してまいります。詳細は後ほど事務方より説明をさせます。私からは以上です。