2016年から「山の日」スタート 衛藤議連会長が制定の意義語る
豊かな海づくりには山づくりが大事
山の日の制定には山に親しみをもってもらう、山の恵みに感謝するという目的があります。しかし、山の日の意義はそれだけではありません。 「山林は大事な治水という観点でも資源でしたが、近年ではバイオマスエネルギーとしても注目されるようになりました。さらに、山をきちんと管理しないと豊かな海が育ちません。漁業関係者にも、豊かな海づくりには山づくりが大事との認識は常識になっています。そうしたことから、漁業関係者が植樹祭に積極的に参加するようになっています。まさに山の日は一部の人間ではなく国民全体の力で実現させたものだといえるのです」(衛藤議員) 山を大事にしようという動きは、山の日制定以前よりありました。公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が2010年に施行されています。
これまで、木造建築物は耐震性や防火性の観点から公共施設のような建築物には不向きといわれてきました。しかし、近年は木材の研究開発が進み、工法を工夫すれば木造建築でも地震や火事に強いことが実証されています。2009年には、国土交通省がパンフレットを制作して木造建築の普及に努めています。 同法は国が率先して木材利用に取り組むことで国土を保全し地域を再生させることを主眼に置いています。そうした法律の後押しもあり、山林が再評価されているのです。 従来、山は信仰の対象でもあり、芸術や文化の源泉でもありました。日本には世界文化遺産に登録された富士山をはじめ、百名山と呼ばれる素晴らしい山々が各地にあります。普段はオフィスの階段の上り下りぐらいしかしない方も、一年に一度の8月11日には山に登って自然と親しむのもいいかもしれません。 (小川裕夫=ライター)