同期に出世で負け「ひどいデマ」を流した32歳主任の末路…職場を崩壊に追い込む「不満拡散型社員」は処分できるのか
「あいつ、真面目な顔して課長に取り入ったんだって」「その課長も、新入社員と不倫してるらしいよ」昇進人事への不満から始まったある社員の陰口が、やがて複数の社員の評判を傷つけ、とんでもない事態に発展する……、その一部始終を前編記事〈「課長、新入社員と不倫してるらしいよ」32歳主任が職場を崩壊寸前に追い込む「ひどいデマ」を流したワケ〉でお伝えした。 【マンガ】38歳会社員が絶句…2500万の「軽井沢の別荘」を買ったら思わぬ出費 こんな根も葉もない噂を立てる「不満拡散型社員」はあなたの会社にもいるかもしれない。企業が不満拡散型社員を防止するにはどうすればよいか? はたして処分はできるのか? 事例をもとに社会保険労務士の木村政美氏が解説する。 本記事の登場人物 A塚さん:35歳・既婚者。設備メンテナンス会社・甲社の総務課長として20名超の部下を率いる。埼玉営業所の総務部門責任者を兼任することになり、B山さんを「総務課長代理」に抜擢したが、それで思わぬ恨みを買うことに……。 B山さん:32歳、口数は少ないが仕事は確実にこなす総務主任。A塚さんの信頼を得て課長代理に抜擢されるが、同期のC川さんの嫉妬の対象になる。 C川さん:32歳、明るく社交的な総務主任。同期のB山さんが課長代理に抜擢されたことへの不満から「B山さんは課長に取り入った」「課長は新入社員と不倫をしている」と悪質なデマを流し、職場を混乱に陥れる。 D谷さん:27歳、総務課に配属された中途採用の女性社員。C川さんによる課長との不倫デマに巻き込まれ、退職を考えるまで追い込まれ、甲社長に相談。 甲社長:A塚さんを信頼し、埼玉営業所との兼任を提案したが、まさかそれがここまでの問題になるとは思いもよらなかった……。
不満拡散型社員とはどんな社員なのか
不満拡散型社員とは、職場で自分が感じた不満を積極的に他の社員に伝えることで、不満の感情の共有や同調を促す社員をいい、どうすれば不満が解決するかを考え、実践することまでは至らないことが多い。 不満拡散型社員が生まれる原因と、不満拡散型社員になりやすい人の特徴は以下の通り。 (1)会社の処遇に不満がある 自分の業務や業績が正当に評価されていないと感じ、評価する側や自分より優位に立った相手、会社などに対する不満を拡散する。特に昇進の時期や役職の種類、携わる仕事の内容、給与・ボーナスの額などは他者との比較が容易なので不満の対象になりやすい。原因は本人が自己を過大評価している場合、企業の方針に問題がある場合の双方があり、個別のケースにより判断される。 (2)自己愛が強かったり、自分を過大評価している 自己愛が強かったり、自分を過大評価する傾向にある人は、自分の期待通りにならないことに強い不満を抱きやすく、その不満を周囲に拡散することで、自分の重要性を認識させ、存在感を高めたり注目を集めることで欲求を満たす。 (3)共感能力が低い、他者をコントロールしたがる 自分の意見や考えが常に正しいと信じている人は、他者の意見を聞かないことが多い。意見の違いが原因で摩擦が生じた場合、問題解決よりも自分の立場を強調するために不満を拡散する。 (4)噂話が好きな人 噂話が好きな人は、噂話を通じて職場の不満や問題を拡散することがあり、周囲の反応を見て自己満足を得ようとする。 C川さんの場合、常々B山さんより自分のほうが優秀であると信じていたが、B山さんが課長代理に昇進したことでB山さんと彼を推挙したA塚さんに強い不満を持った。不満があるなら直接A塚さんに訴えることもできたが、それをせずにデマを拡散することで2人を困らせることを選んだ。臨場感がある話し方のせいでメンバーたちがデマを信じてしまったことも噂が拡散された原因であり、C川さんは不満拡散型社員と言えるだろう。