推し活で楽しむ「アクスタ」の人気が広がる理由
持ち歩き写真撮影、SNSに投稿
好きなアイドルや、アニメキャラクターの姿をアクリル板に印刷して切り抜いた「アクリルスタンド(アクスタ)」が、「推し活」の広がりとともに人気だ。部屋に飾るだけでなく、外出時に持ち歩き、景色とともに撮影して楽しむ。スマートフォン大の板状の置物が、世代を超えて人々を魅了している。 【写真】アニメ「あんさんぶるスターズ!」に登場する人気キャラクター「斎宮宗」のアクスタ 10月中旬、東京スカイツリー(東京都墨田区)の「天望デッキ」で、都内の50代の会社員女性が、絶景を背景に、テレビアニメ「呪術廻戦」のキャラクター・五条悟のアクスタをスマホで撮影していた。アクスタは高さ15センチ、幅10センチほどで、軽くて丈夫。観光地などに行く際は必ずバッグに入れて連れ立ち、記念写真を撮るという。「一緒に訪れたようで幸せな気分になります」と話す。 東京スカイツリーでは同アニメと協業したイベントを12月22日まで開催中。カフェでは、契約社員の女性(28)がキャラクターのアクスタをテーブルに並べ、友人3人と食事と撮影を楽しんでいた。「推しのアクスタは元気の源」とほほ笑む。 アクリルグッズを企画・販売する「ひかりてらす」(東京)代表の山田裕介さんによると、アクスタが注目されるようになったのはこの5年ほどだ。アニメ界で親しまれていたものが、2015年頃にアイドルやタレントなど実写の世界に拡大。コロナ下、キャラクターグッズの定番のぬいぐるみが、製造拠点の中国から予定通り届かなくなるなどして一気に普及したという。
最近ではスポーツ選手や歌舞伎役者のアクスタも登場。関連のイベント会場などで1個1000~2000円台で売られているが、フリーマーケットサイトなどでは10倍以上の値がつくことも。そもそも室内の飾り物だったが、ストラップ付きの専用ケースも販売され、バッグなどのアクセサリーにもなっている。 推し活経済を研究する、博報堂「オシノミクスプロジェクト」の池田将之さんによると、推しのアクスタを持ち歩いて写真を撮り、SNSなどに投稿するのはファンの定番の楽しみ方という。「アクスタはファッションアイテムであり、『推し』を持つ人にとっての名刺代わり。交流の輪を広げるために欠かせないものになっている」と話す。