推し活で楽しむ「アクスタ」の人気が広がる理由
我が子やペットをオリジナルのアクスタに
アクスタ人気が続く中、オリジナルのアクスタを作るサービスも登場した。 全国約180か所にある写真印刷店「パレットプラザ」では、今年4月、自分自身や子ども、ペットなどの写真をアクスタにするサービスを始めた。Sサイズ(高さ10センチ・幅10センチ)1個2750円から。今の時期は、七五三姿の子どもの注文が目立つ。 用途も様々。新郎新婦のアクスタを結婚式で配ったり、亡くなった祖父のアクスタを家族旅行に持参し、観光地で記念写真を撮ったりした人もいたという。 同店を運営する「プラザクリエイト」の久保内幸子さんは「デジタル化でプリント需要は減っているが、本当に好きな物を形に残したい、思い出を手元に置きたいという人は多い。フレームなしでどこにでも飾れる手軽さも支持されている」と話す。 日本のサブカルチャーに詳しい関西大教授の森貴史さんによると、ひな人形や小さな動物の人形、ミニチュア玩具など、日本人には古くから小さな物を集めたり、飾ったりすることを好む習慣があるという。「アクスタはほどよいサイズ感で、見栄えがよい。SNSや、きれいな写真をいつでも撮れる高性能のスマホが普及している時代ならではの流行だろう」と話している。
江戸時代の「生人形」に類似性
人物やキャラクターの姿を切り抜いて作るアクスタ。明治大兼任講師(近代日本演劇)の村島彩加さんは、江戸時代の見せ物のひとつ「生人形」に類似性を見いだしている。 生人形は、等身大で髪も植えられ、生きている人間そっくりに作ったもの。「推し」の歌舞伎役者の姿で作らせて秘蔵した熱心なファンもいたという。 村島さんは「日本には、推しをめでる文化が古くからある。生人形のほか、役者絵、演劇写真など、あこがれの姿、存在を所有したい、独占したいという思いはいつの時代も変わらない」と話している。(読売新聞生活部 谷本陽子)