発行可能株式総数が「多すぎる」場合のデメリットとは?会社設立時に決める「株式の数」について【司法書士が解説】
設定時に考慮すべきポイント
1. 過少設定のリスク 発行可能株式総数を少なく設定すると、増資や新株予約権の発行が必要になった際に株主総会の決議が必要となり、迅速な対応が困難になる可能性があります。 2. 過大設定の懸念 一方で、発行可能株式総数を過剰に設定すると、外部から「計画性がない」という印象を持たれる可能性があります。 3. 将来の株主構成 新株発行による株主の割合変動が、経営権に影響を与える可能性があります。特にスタートアップやファミリービジネスでは、株主構成の変化が経営に与える影響を慎重に考慮すべきです。 〈設定の具体例〉 ●ケース(1)スタートアップ企業 ・資本金:100万円 ・発行株式数:100株(1株あたり1万円) ・発行可能株式総数:1,000株 ⇒設立時の株主構成を明確にし、将来的な増資に備えて十分な余裕を確保するため。 ●ケース(2)製造業 ・資本金:1,000万円 ・発行株式数:10,000株(1株あたり1,000円) ・発行可能株式総数:50,000株 ⇒高額な設備投資が必要で、早期の増資が見込まれるため。 ●ケース(3)小規模飲食業 ・資本金:300万円 ・発行株式数:300株(1株あたり1万円) ・発行可能株式総数:3,000株 ⇒必要な資本金を確保しつつ、シンプルな株主構成を維持するため。
株式設定に関するよくある質問
Q1:発行可能株式総数はあとから変更できる? ⇒A.変更可能ですが、株主総会の特別決議が必要となります。その手間を考慮し、設立時に余裕を持たせて設定するのが一般的です。 Q2:株式数を多めに設定した場合、デメリットはある? ⇒A.特段のデメリットはありません。「100億株」とすることもできますが、このような表記は望ましくありません。計画性を示すために現実的な設定が求められます。
株式数と発行可能株式総数で、会社の未来をデザインする
発行する株式数と発行可能株式総数は、設定を適切に行うことで、将来的な増資や資本政策の柔軟性を確保することが可能になります。 〈設定時のポイント〉 1.出資比率を反映した公平な株式数を設定。 2.将来の事業拡大や資本政策を見据えて余裕を持たせた株式総数を設定。 3.適切な1株の価格を設定し、資本金とのバランスを確保。 会社設立時に適切な株式設定を行うことで、スムーズな事業運営と柔軟な資本政策を実現し、強固な基盤を築きましょう。 加陽 麻里布 司法書士法人永田町事務所 代表司法書士
加陽 麻里布