今さら聞けない「母集団形成」って? 激化する採用競争を勝ち抜くカギ
「母集団形成」とは、採用活動において自社の選考を受ける候補者を集める活動のこと。母集団の質と量が採用の成功に直結するため、企業はさまざまな手法で優れた母集団形成を目指します。手法としては、求人広告、採用イベント出展、SNSの活用、インターンシップなどが挙げられます。エントリー、書類選考、適性テスト、1次面接、最終面接、内定と選考プロセスが進むにつれて人数が減っていくため、十分な母集団を確保することは採用活動において不可欠です。
インターンという名の採用広報が常態化 採用競争過熱の理由にある充足率の低さ
大学3年生の3月1日。経団連の定める就職活動の解禁日です。大手日系企業の多くは経団連に加盟しているため、3月1日を待って一斉に動き出します。就職情報サイトがグランドオープンし、合同説明会が次々に開催されるなど、採用活動の火ぶたが切って落とされるのです。 近年は学生を対象としたインターンシップも過熱しています。インターンシップは大学3年生の3月以前でも募集できるため、本来の職業体験という意義を超え、1dayインターンのように座学イベントとして利用されることも増えています。こうした取り組みは「キャリア観涵養(かんよう)」という名目で行われていますが、就活の前哨戦としての側面もあるため、問題視されることもあります。 各社が母集団形成に力を入れる理由は、採用活動の行方を大きく左右するからです。書類選考、1次面接、最終面接と、選考プロセスが進むにつれて人数が減るため、歩留まりを意識して母集団を集めなければなりません。さらに、昨今は労働人口の減少から売り手市場が加速しており、24年卒の採用充足率が50%未満だった企業は約4割という結果もでています(東京商工会議所調べ)。 採用人数に届かなかった企業は、翌年の改善に向けて、インターンシップなど母集団形成の強化策に取り組み、人材獲得競争の激化に拍車がかかるという構造です。 ただし、数さえ集まればいいというものではありません。母集団の中に、自社の採用要件に合う人材がいなければ意味がありません。 母集団形成のポイントは、採用ターゲットを明確にし、ターゲットに響くメディアやコンテンツを選ぶことです。たとえば、プログラミングスキルを持つ学生に対してソースコード形式でクリエーティブを作成するなど、「自分向けの情報だ」と感じてもらえるような情報発信が大切です。 経験と勘を頼りに新卒活動を行っている企業も少なくありません。候補者が自社で活躍できる人材かどうかを見極めるためにも、新卒入社者の活躍度合いを参考にしながら、採用ターゲットや採用基準を明確にする必要があります。 参考:https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1202544 2024年新卒者の採用・選考活動動向に関する調査について|東京商工会議所