被団協、ノーベル賞授賞式へ出発 「核廃絶運動知ってもらう機会に」
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表団はノルウェー・オスロで開かれるノーベル平和賞の授賞式に参加するため、8日午前に羽田空港を出発した。 【写真】被爆3日後の惨状生々しく 毎日新聞記者が撮った40枚 出発前に羽田空港で代表委員3人が取材に応じた。 田中熙巳(てるみ)さん(92)は「これまで被爆者がやってきたことをさらに続けていくには世界の支持も必要。核兵器は絶対に廃絶しなくちゃならない、人類と共存できないと叫び続けてきたこれまでの運動を、多くの人に知ってもらう機会にしたい」と語った。 広島の箕牧智之(としゆき)さん(82)は「今、世界中に戦争や核兵器があり、被爆者の願いの通りに進まないことに歯がゆさを感じている。世界中が平和を求めているはずなのに、いっこうに進まん。私たちがオスロへ行くことに責任の重さを感じています」と話した。 長崎の田中重光さん(84)は「原爆が人間に何をもたらしたかということを世界に広げていきたい。地球市民が一人一人考え、私たちの行動を信じてもらい、参加してもらうことが重要だと思う」と述べた。 代表団はデンマーク・コペンハーゲンを経由し、現地時間8日夜に到着する予定。10日にオスロ市庁舎で授賞式があり、田中熙巳さんが演説する。 代表団は日本被団協の役員ら約30人で構成。国連の中満泉事務次長(軍縮担当上級代表)やブラジル、韓国在住の被爆者とは現地で合流する。 授賞式では、田中熙巳さんと箕牧さん、田中重光さんの3人が壇上にあがる。11日にノルウェーの首相との合同記者会見が予定されているほか、オスロ市立高校やオスロ大学で被爆証言を行う。 受賞を記念してオスロのノーベル平和センターで被爆者らが描いた絵などの展示会が開かれる予定で、代表団も開幕式典に参加する。12日まで滞在し、13日朝到着の飛行機で帰国する。【椋田佳代、山口智】