トラブル続出! 広島市のゴミ最終処分場 5年遅れで来春稼働へ 住民は「不安が払しょくされない」
広島ニュースTSS
度重なるトラブルが原因で稼働が大幅に遅れた広島市のゴミの最終処分場。 住民が不安を募らせる施設内部にツイセキします。 【五十川記者】 「埋め立てられる場所なんですが、本当に広くて大きくて、まるでサッカー場が丸々山の中にできたんじゃないかというような…エディオンピースウイング広島よりも大きいんではないかなというような、そんな規模感です」 広島市佐伯区湯来町に完成したゴミの最終処分場「恵下埋立地」来年度からの稼働を前に住民に向けた見学会が開かれました。 【住民】 「(市職員は)技術的なところは引き継いできているけど、人からどういう風に意見があってどういう風な苦しい思いがあったか、皆さん(市)側も苦しい思いがあったし、こちらも苦しい思いがあったと思うんですけど、どういう意見があったか、人と対話していることを忘れないでほしい」 【広島市の担当者】 「きちんとできるものは、いま考え得るなかでは、なかなかいいものを造ったんじゃないかと思っているんです」 「恵下埋立地」は広島市内全域の家庭と企業から出た不燃ごみなどの最終処分場として、今後30年稼働する予定です。 これまでの埋立地がほぼ満杯になったため、新たに建設されたのですが、完成までには紆余曲折ありました。 【五十川記者】 「当初の予定では2020年度に稼働する予定だったんです。それが5年も遅れてしまいました。その理由は下にあります。きれいに整備されているように見える池の部分です。あそこです」 敷地内で見つかったのは、廃タイヤの燃え殻。推計5600トン…国の環境基準の10倍以上の高濃度ダイオキシン類が検出され、工事は中断を余儀なくされました。 <当時の映像> 「開けないでください」 さらに、土壌から鉛が検出されたほか、3年前には大雨によって県道が崩れ、復旧工事などが必要に…総事業費およそ258億円の一大事業ですが、度重なるトラブルで工事が始まってから12年の月日が経っていました。 【広島市・埋立地整備管理課 中冨光信 課長】 「市民の生活に必須の施設だと考えていますので、そこはですね万全を期して管理を行っていきたいと考えています」 見学会で質問が相次いだのが、ゴミから地中に染み出る雨水についてでした… 【地元の農家は】 「(水は)何が通っているかも現地はわからん。水が汚くなったら、ものすごく(農作物の)人気が落ちますよ」 市は、二重の遮水シートで地中を囲い、外に水が出ないように処理するとしていますが、さらなる対策を求める声が上がりました。 【住民は】 「今後、どういう影響が出てくるのか、不安は払しょくされないと言いますか…」 【広島市・埋立地整備管理課 中冨光信 課長】 「市としては何重もの対策を施していますので、心配しているような浸出水の漏えいについては万全を期した対策で『ない』と考えています」 処分場は来年度から稼働予定で、市は、最新の設備を使い安全に配慮するとしていますが、周辺住民の不安は完全に拭いきれたとは言えません。 【子どもたちをダイオキシンから守る会・塚本雅彦 代表】 「5年後、10年後、この(稼働時の)話が分からなくなってから(もしもの場合に)『やっぱりやばかったぜ』となったときに困るなと、それに対する対策を、いま私たちが言うことで、また考えていただければ助かります」 《スタジオ》 広島市側と近隣住民側でこの温度感といいますか、なかなか絶対というものはないですから、不安な気持ちというのは、簡単には拭いきれるものではないですね。 【コメンテーター:広島大学大学院・匹田篤准教授】 「このゴミっていうのは、どうやって処分するか、どこに埋めさせてもらうのかっていうのは、押し付け合いになってしまうわけなんですけれども、特に水の問題っていうのは今、話題になりやすいこともあるし、『安全である日本の水』っていうのは守ってもらいたいなと思います」
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