SNSで話題のマンガ『お家、見せてもらっていいですか?』は実体験も! 憧れの”ご近所の気になるアノ家に突撃訪問”を疑似体験 佐久間薫先生インタビュー
リアル道生くんもいる! 実はみんな隣の家が気になっている!
実際の反響はいかがでしょう。 「日本家屋など、Webで一部物語を公開していること、また、想像以上にたくさんの方が読んで下さって、いろんな反響が寄せられました。一番印象に残っているのは、『自分も子どものころ、道生のように、よそのお家に突撃したことがあります!』という声です。しかも一人じゃなくて、ちらほらいるので、実際に突撃する人がいるとは…!とその行動力に驚きましたね」 リアルにピンポンしちゃう人っているんですね! 今ではなかなかできないかもしれませんが、その行動力は尊敬です。現在でもYouTubeでは「ルームツアー」も人気コンテンツですし、やはりみなさん、気になる隣のお家があるようです。 もうひとつ、反響が大きかったのは「おばあちゃんのゴミ屋敷」で、いわゆる片付けられない実家のお話です。
カギを握っているのは、小学生・道生くんの行動。普段、「捨てろ」と言われても絶対に捨てないおばあちゃんが、道生がほしいというと、あっさりとモノをあげてしまうという驚きの展開。筆者の実家も母がモノを捨てられない性格で、長年の悩みのタネとなっていますが、このお話を読んで、「え、こんなことってありなの?」とびっくりしました。 「実は私の実家はゴミ屋敷とまではいかないですが、母が片付けが苦手で。以前、片付けをしに帰ったときに実際にあった母とのやりとりを参考にしました」と佐久間先生。 この「ゴミ屋敷」、娘のほろ苦い思い出などもさらりと織り込まれていて、モノと人、家と人について考えさせられます。
家と人はリンクする。マンガ片手に街歩きを楽しんで
主人公の道生くんが住んでいるのは、団地です。今では貴重ともいえる団地住まい、筆者からみると羨ましいのですが、道生くんは一戸建てにあこがれ、一軒家を訪れています。 「道生くん親子が住んでいるのは、当初、アパートという設定だったんですが、編集さんから団地のほうがいいのでは?とアドバイスをもらいました。そういえば私が育った町にも大きな団地があり、同級生もたくさん住んでいました。そこに住む道生を想像したら、なるほどしっくりきて」(佐久間先生) こうした細部の積み重ねが、お話にリアリティーをもたらしているのだなと実感します。また、どのお話も、人と家が同期しているというか、やはり「家は人なり」ではないですが、その人そのものを表しているのだなと思いましたが、佐久間先生も同様に思っていたそう。 「やっぱり家も人も結びついているなと思います。きらびやかな家にはきらびやかな人が住んでいて、やっぱりシンプルな家にはシンプルな人が住んでいる。もちろん、例外もあると思いますけど、何となくイメージがつくというか。どんな人が住んでいるのか、家ににじみでてくるような気がします」 そう聞くとがぜん、毎日の散策や家の観察が楽しくなりそうです。 「読者からも『この本を読んでから、家を見るのが楽しくなった』と言ってもらえたんです。私自身、何気ないものを楽しむのが好きですし、この本を読んで、そういう人が一人でも増えてくれたらいいなって思いますね。特別にお金もかからないし(笑)、散歩して、お家を見て、たまにコーヒーなんかを飲んで、中には入れないけど、楽しく過ごせる手助けになったらうれしいです」 家に関心を持つことは、家や住んでいる人、まちへの愛着のはじまりだなと思います。庭木の様子、車、ゴミなど、普段は見落としがちな小さな変化に気づくこともあるでしょう。遠くへの旅行もいいですが、近所を見てまわり、どんな家があって、その中には空間が広がっているのか、どんな暮らしがあるのか。そんな大人の夏休み、大人の自由研究があってもいいかもしれません。
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