中国政府、「カルバン・クライン」親会社PVHを調査 “新疆綿を不当にボイコット”の疑いで
なお、米国は22年6月に、ウイグル自治区が関与する製品の輸入を原則禁止する「ウイグル強制労働防止法(Uyghur Forced Labor Prevention Act以下、UFLPA)」を施行しているが、PVHはそれ以前の21年に同自治区からの調達を中止している。
中国政府の「直接的かつ強制的」な関与に懸念
デラウェア大学(University of Delaware)でファッションやアパレルに関する研究をしているシェン・ルー(Sheng Lu)教授によれば、H&Mが巻き込まれた騒動は背後で中国政府が糸を引いていたことは明白だとしても、表向きは中国共産主義青年団の投稿がきっかけとなっていたのに対し、今回は中国政府が「直接的かつ強制的」に関与していることが懸念点だという。「新疆綿を巡り、中国がアパレル企業に対して規制を持ち出し直接的なアクションを起こしたのは今回が初めてであり、明らかにエスカレートしている」。
同氏はまた、「ザラ(ZARA)」などを擁するインディテックス(INDITEX)やH&M、ナイキ、リーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS)など、中国市場でより高い業績を上げている外資系企業も多い中、PVHを対象とした理由は「恣意的で不透明だ」と話す。「UFLPAが施行されている以上、米国企業が新疆綿に対する姿勢を変えることは難しい。それを踏まえると、今回の件により、中国市場での調達やオペレーションに関してさらなる“リスク回避”へと動く可能性も否めない」と分析した。