【現代資本主義の黙示録】371億円詐取が発覚、有り金18億を「共犯者」に渡した私は、グアムの海で証拠隠滅した【先行公開】
---------- 2008年9月、アメリカでサブプライムローン(低所得者向けの住宅ローン)が崩壊し、大手投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻した。世界金融危機「リーマン・ショック」の直前、リーマン・ブラザーズから総額371億円にのぼる莫大なカネを騙し取った凄腕詐欺師(懲役15年)がいる。齋藤栄功だ。 【本人写真】批判は覚悟している…リーマンから371億円を騙し取り、懲役15年 このほど「リーマン・ショックの引き金を引いた男」齋藤の回顧録『リーマンの牢獄』が、いよいよ5月16日に出版される。2024年最注目の巨弾ノンフィクションに、知られざる現代史の裏側が赤裸々に記録される。(文中敬称略) ----------
詐欺事件発覚→グアムへの逃避行
投資顧問会社社長・黒崎勉(仮名)の手引きを受けつつ、齋藤栄功(しげのり)は成田空港からとりあえずグアムへ飛ぶことに決める。行き先をグアムに決めたのは「冬服をもちあわせていない」という単純な理由からだった。 〈「大きめのスーツケースを一つだけ持ち歩いていましたから身軽でした。でも、冬服がない。とりあえず南へ向かおうと決めました。まずは成田突破が最優先、さよなら日本です。ホテルをチェックアウトしたら、黒崎氏が車で迎えに来てくれました。僕が預託した愛車ゲレンデ【※RVタイプのメルセデス・ベンツ】です。京成スカイライナーでなかったのがせめてもの慰めで、あとは何の見通しもなかった。 グアムへのチケットは空港で購入し、黒崎氏は出発間際まで僕に寄り添っていました。別れを惜しむかのように、出発ロビーで手を振る彼の笑顔がいまも忘れられません。ああ、よかった、これで僕の資産は完璧に保全された、と思ったんです」〉(『リーマンの牢獄』300ページ) 海外逃亡前、齋藤は自身が保有する不動産や外車5台を次々と売却して現金化している。手持ちのキャッシュも合わせて、有り金のほぼすべてを黒崎に預けていた。その総額は17億8200万円にのぼる。黒崎にしてみれば、早いところ齋藤を海外に追いやって17億8200万円に手をつけたくてたまらなかったわけだ。 〈「預かったカネで東京のどこに不動産を買おうかと舌なめずりしながら、会心の笑みを浮かべていたんですかね。それ以降、黒崎氏関連の企業が麻布や六本木界隈の不動産を買い漁(あさ)っていたそうです。僕はつまり、長良川(ながらがわ)の鵜(う)飼いの鵜だった。丸吞みした鮎(あゆ)をすべて吐き出したあと、ハイ、お役ご免というわけです」〉(『リーマンの牢獄』300ページ)
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