NHK『団地のふたり』59歳女優の“相棒”とのやりとりの魅力。大ヒット民放ドラマでも見せていた
ご飯を食べ続ける現場
和平の弟である長倉真平(坂口憲二)が毎朝千明の分まで朝食をつくり、千明が長倉家に食べにくる。その食卓場面でも小競り合いが始まる。どうやら、小泉今日子的な相棒関係には、食事場面というのも重要なようだ。 『団地のふたり』でも奈津子がつくる食事を毎晩のように野枝が食べにくる。とはいえ、この団地では和平と千明のような騒がしい小競り合いは演じられない。そのかわり、奈津子と野枝は新鮮な野菜焼きやたけのこご飯、ちらし寿司など、色とりどりな食べ物をもりもり食べることに徹する。 本作放送に合わせた紹介番組のインタビュー映像で小林聡美が、カットがかかったあともご飯を食べ続ける現場だったと証言しているくらいである。(食事系ドラマは例外として)テレビでも映画でもこうして俳優がもりもり食べる場面が少ない。家族ドラマなんかで特に若い俳優がごく少量の白米を箸にのせているのを見ると、ほんとに変だなと思う。 普通もっと食べるよなと。これは要するに、撮影用語的に消え物である食べ物を俳優が遠慮して食べないようにしているだけなのだが、やっぱりご飯を食べる場面なら、おかわりをするくらいの勢いでもりもり食べてほしい。 『団地のふたり』第2回で、たけのこご飯をおかわりしていた小泉は、最良の相棒を得て心底安心してもりもり食べられたのかなと思う。 <文/加賀谷健> 【加賀谷健】 音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
女子SPA!