田野優花×かれしちゃん×植村颯太が挑んだ『ぼくらのふしだら』 「原作のいいとこ取り」
2025年1月3日より公開される映画『ぼくらのふしだら』。大見武士が『月刊ヤングキングアワーズ GH』(少年画報社刊)で連載したエロティックホラーを、『青鬼』の小林大介監督が実写映画化する。主演キャストとして、近年映画や舞台の話題作への出演が続く田野優花、“可愛すぎるフェチ系コスプレイヤー”かれしちゃん、ドラマ・バラエティで活躍中の植村颯太が出演。演技経験の浅い3名は、過激表現満載の本作にどのように挑んだのか。そして“初体験”だらけの現場で得たものとは――。 【写真】田野優花のベッドシーン
映画『ぼくらのふしだら』は原作のいいところが詰まった作品
――完成した作品をご覧になった率直な感想を聞かせてください。 田野優花(以下、田野):シーンごとに撮影していて、チェックも少なくスムーズに進んでいったので、逆にどんな感じに仕上がってるんだろうと不安だったんです。でも完成した映像を観たら、「これは面白いかも」と思いました。原作者の方からも「すごく面白かったです」「狂気的で良かったです」と嬉しいお言葉をいただけたので、ホッとしました。 かれしちゃん:もともと原作が好きで読んでいたんですけど、映画になってさらにリアルさが増しているし、「原作のいいとこ取りだな」って。 田野:原作を知ってる人だからこそわかることだね! かれしちゃん:そうですね。原作のいいところが詰まった、素晴らしい映画になっているんじゃないかなと思います。 植村颯太(以下、植村):信一は基本的にめちゃくちゃいいヤツなんですけど、ある秘密が明かされたときの“不気味さ”をちゃんと表現できているのか、不安があったんです。でも、試写会で観たら「ブワッ」とゾクゾクする感じがあったので、よかったなって。みなさん個性あふれるキャラクターで、すごく面白かったです。 ――みなさんにとって挑戦的な作品になったと思いますが、出演にあたり迷いや戸惑いはありませんでしたか? 田野:私は高校生役ですし、どんどん落ちぶれていく様は難しくて、いろいろと考えることもありました。でも、過激な描写が多いことに対しては、あまり不安がなくて。この作品を受けた時点で、キャストも全員覚悟が決まっていると思ったので、そういう人たちにドーンと飛び込んでいけば大丈夫だろうなと思っていました。 かれしちゃん:僕は人外の役だったので、最初は「どうやって演じようか」ととても迷いました。演じたことのない役だったので、周りの人にも「これなら人間っぽさが薄くなるかな?」と相談したりして。もちろん監督さんからもアドバイスをもらって、自分の中の人間味をできる限り殺すようにしました。みなさんの言葉を受け取って、ササヤキに落とし込めたかなと思っています。 植村:僕も初挑戦の役柄ですし、たくさんキスシーンがあって、しかも強烈に求め合うんですよ。そういう芝居は過去に一度経験したことがあるだけで、まだ慣れていないのでとりあえずキスシーンのあるドラマをたくさん観ました。参考にできたかわからないですけど、とにかく本能でチューしました。 田野:あははは(笑)。でも、私としてはすごく心強かったですよ。「大丈夫ですかね?」と不安げではなくて、「行きます!」という感じで来てくれたので、私も「行きます!」って(笑)。 ――植村さんは、最初から「自分が引っ張っていくぞ」というお気持ちで? 植村:いや、不安しかなかったです。でも、演じさせていただくからには、突撃しようと思っていました。とにかく台本を読み込んで、相手の言葉をキャッチしようと。みなさんキャラクターが仕上がっていたので、「負けてらんねぇ」という気持ちでしたね。でも、初めて田野さんとお芝居したときに、すぐに「美菜実や!」と思えたので、僕自身も役に入りやすかったです。 ――今回は田野さんとかれしちゃんのラブシーンもあります。 田野:かれしちゃんのほうがリードしなきゃいけないので、すごく大変だったと思います。美菜実を巻き込んで巻き込んで……という役なので。 かれしちゃん:ふだんは女性をリードすることなんてないので、「どこまで行っていいんだろう」と最初は探り探りだったんですよね。そしたら監督さんが「行けーっ!」という感じだったので、これはいくしかないなと。だから私は、植村さんのような度胸がほしかったです。 植村:僕はもう直感で、とにかく自分の気持ちを信じてやりました。 田野:私も女性同士のラブシーンは初めてでした。でも、そこに恋愛感情が生まれる作品ではないので、まだ演じやすかったのかなと思います。「なにこの状況」と思いながら巻き込まれていくので、私自身はササヤキとのラブシーンに関しては何不自由なくやらせていただきました。かれしちゃんには「本当に難しかったよね、ありがとう」という気持ちでいっぱいです。 ――撮影を振り返って、大変だったことはありますか? かれしちゃん:集合時間が早いんですけど、僕は朝起きるのがすごく苦手で、休憩中によく顔を伏せて寝てたんですよ。そうするとリーゼントが崩れちゃうので、ヘアメイクさんが「おはよう」と言いながら毎回直してくれました。でもこれは、僕じゃなくてヘアメイクさんが大変だった話ですね(笑)。 植村:(笑)。僕はクライマックスのシーンですね。ド緊張しました。信一が美菜実ちゃんに語り掛けるのですが、観客の方に「そうだったんだ!」と思わせる重要な場面なので、気持ちのコントロールが難しくて。少しでも違うことを考えたらニュアンスを掴めなくなってしまうので、全集中でいきました。 田野:でも、あの笑顔すごく不気味だったよ。 植村:ありがとうございます。あそこはBGMがよかったですね、BGMに助けられました。 田野・かれしちゃん:BGM(笑)。 田野:私は屋上のシーンが大変でした。感情の表現が難しかったのですが、テイクを重ねて「ここまでできるんだ」と、自分自身驚きながら撮影してましたね。植村さんが目の前にいてくれて、ちゃんとお芝居してくださるので心も動かすことができて。大変だったけど、すごくいいシーンになったんじゃないかなと思います。 ――かれしちゃんは映画初出演ですが、心境はいかがですか? かれしちゃん:実感がないですね。まだ公開されていないからというのもあると思うんですけど、「ほんとに映画になるの?」と夢のような感覚です。でも、演じることはすごく楽しくて。表現とか演技の面で、どうしようかなと悩んだりもしたけれど、“苦しい”が“楽しい”に変わっていくのを感じました。 ――これまで、映画や舞台など様々な現場を経験されてきたと思いますが、今回の撮影で田野さんが初体験だったことはありましたか? 田野:このお話を頂く直前に、過激なシーンがある作品(ショートドラマ配信アプリ「BUMP」『愛の掛け惨』)を初めてやらせていただいたんです。このタイミングも何かのご縁だと思ったので、その経験は絶対に活かしたいと思っていました。 ――実際、経験が活きたという手応えも? 田野:そうですね。私は生っぽさを大事にしたいと思っていたので、相手とのコミュニケーションだったり、映り方について意識するようにしました。監督さんの「こういう映像が撮りたい」という要望が“美しいもの”だったので、そこも残しつつ、高校生たちの生々しさも出したいと思いながら撮影していました。 植村:僕もこの撮影で初体験がありました。ふだん撮影に入る直前には「やってやろう!」という気持ちになるんですけど、この現場は少し違って。とくに、屋上のシーンでは「やるぞ!」ではなく、自分の気持ちが乗っかったんです。不気味な世界観に気持ちが乗って、自然とお芝居できた気がするんですよね。あれは、初めての感覚でした。 田野:たしかに、頑張って自分でギアを上げなきゃいけないときもあるもんね。 植村:そうなんですよ。でも今回は「ギアを上げて頑張るぞ」という勢いじゃなくて、自然と役を演じられました。 田野:すごく役者っぽい! 植村:とんでもないです(照)。 ――この現場を経て、得たものも大きそうですね。 かれしちゃん:僕はおふたりと比べてはるかに演技経験が浅いので、他の方がお芝居しているところも遠目で見て、「こういうときにはこうやってセリフを言えばいいんだ」と学びになりました。場数を踏むってこういうことなのかなと思いました。この作品を経て「もっと演技のお仕事がしたい」と思うようになって、いろいろと挑戦していますし、すごく貴重な時間でした。 田野:メイクさんとかから、自分の出番じゃないときにもモニターの前に立って、よく見ていたって聞きました。 かれしちゃん:そう、見てるのが楽しくて。興味もあったし、すごく勉強になりました。 田野:私自身、舞台の方が圧倒的に多くて、映像経験が少なかったんです。やっぱり映像になると全然違うし、繊細な表現ができるっていうメリットはあるんですが、それに私の実力がまだ伴っていなくて。自分が今出せるものは全部出したんですけど、私自身もまだまだ勉強中という気持ちで撮影に臨んでいました。