「30センチ必要なのに厚さわずか3センチ」“空洞だらけ”のトンネル施工不良 原因は「施工業者の倫理観欠如」調査報告書で結論付ける 知事「規模は車の認証不正に匹敵」と糾弾
全コンクリートをはがして工事は全面やり直し
専門家らからなる技術検討委員会は原因調査と今後の補修工事の方針について協議を続けてきました。その結果、鋼材が本来の設置位置からずれていることなどから、コンクリートを全てはがし、工事を全面的にやり直す必要があると判断しました。施工業者の浅川組は、去年12月からコンクリートをはがす工事をはじめ、ほぼ撤去が完了したということですが、完了は来年12月の見込みで、本来の開通時期から約2年遅れになるということです。
報告書では「業者の倫理観の欠如」が背景と指摘
技術検討委員会は、5月末に報告書を取りまとめました。検討委によりますと、施工不良が起きた原因について、『測量技量の未熟さ』、『コンクリートの厚さやアーチ状の「支保工」の設置位置の確認不足』などがあったと指摘したうえで、施工を担当した浅川組の技術者や現場監督らの倫理観の欠如などが背景にあったとしています。 一方で県も「段階確認」を適切に実施していないなど監督体制に不備があったこと、監督者らの技術力不足があったことなども指摘したということです。 今後、再発防止策として、発注者である県側の監督員の技術力強化や不正を未然に防ぐ検査体制等の環境整備を進めていくとしています。県は6月中にも報告書をホームページで公開すると予定だということです。
岸本知事「ブルータスお前もか…車の認証不正に匹敵する倫理観の欠如」
岸本知事はこうした報告書の状況などを踏まえて、6月5日の会見で改めて今回の問題について「倫理観の欠如は車の認証不正問題に匹敵する」などと糾弾しました。 「本当にこんなずさんなことが、起きたのかと言うのは今一度驚かされる。報告書にありますように倫理感の欠如、まさに今直近で言えばトヨタ始め自動車会社の世界に冠たる自動車会社のああいう不正の問題もありますけれども、それに匹敵するような、倫理観の欠如ということがあったと」 「今回の会社については猛省を促すわけであります。『ブルータスお前もか』と豊田章男会長の言葉を借りるわけじゃないですが、日本社会全体の大きなひずみというものを感じます。もう一度襟を正して我々も含めてもう一度倫理感について見つめ直していきたいなと感じています」