なぜ「名古屋めし」は味が濃い? 味噌カツ、ひつまぶしに共通する“日本人ならでは”の味からひも解く
名古屋のご当地グルメ全般を指す「名古屋めし」。 味噌カツ、味噌煮込みうどん、ひつまぶし、手羽先、きしめん、味噌おでん、あんかけスパゲティ、台湾ラーメン、鉄板スパゲティ、小倉トースト、名古屋コーチンなどなど……。 【“名古屋めし”と聞いて思いつくグルメランキング! 1位はひつまぶし、2位は?】 今ではこれらを目的に名古屋に足を運ぶという人も少なくなく、名古屋城と並ぶ観光資源にもなっています。 バラエティー豊かな名古屋めしですが、全般的な特徴としてしばしば称されるのが「味が濃い」。こってり濃厚な味わいが、多くのメニューに共通する傾向だといわれます。 「みんな茶色い」ともいわれ、色合いが濃いことも味が濃いというイメージにつながっているのでしょう。 さて、この「味が濃い」という特徴。いささかふわっとした表現で、具体的にどんな味わいなのか今ひとつピンと来ないという人も多いのではないでしょうか? 甘辛い?しょっぱい?脂っこい?後味がしつこい……? 名古屋めしは一体何が濃いのでしょうか?
◆「うま味」は日本人が発見した味の基本味
それはズバリ、名古屋めしは「うま味」が濃いのです。これまた抽象的な表現、と思われるかもしれません。 「うま味」は「おいしさ」と同義の言葉だと思われがちですが、実は独立した味の種類を指す言葉です。具体的にはグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などによって生じる味わいのことです。 この「うま味」は、味の基本味である「甘味」「塩味」「苦味」「酸味」に続く第5の基本味として、現在は世界的にも認められています。 あれ、「辛味」は?と思う人も多いかもしれませんが、「辛味」は刺激であって味の種類には入りません。 海外ではちょうど良い表現が見当たらないため、日本語音のまま「UMAMI」と表記されるのですが、化学的に独立した味だと証明されたのはほんの20年ほど前のことです。 しかし、日本人は100年以上も前にすでに「うま味」を発見していました。 明治後期に、東京帝国大学の池田菊苗博士が昆布からグルタミン酸を抽出し、「うま味」という味の種類を化学的に証明しているのです。 ちなみに池田博士はこの研究を発展させて、調味料「味の素」を開発しています。