【日本市況】円8カ月半ぶり高値、日米金利差の縮小観測-株式は続落
三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、米金利の低下に加えて中川審議委員の発言で日銀の利上げも意識され、日米両面からの円高圧力が根強いと指摘。「金融正常化に向けて執行部と同様の前向きな発言を繰り返していることがドル・円の重しになっている」と述べた。
米大統領選候補者の討論会については、ハリス氏優勢との見方も出る中で先行きは不透明で、「トランプ相場は時期尚早との見方からドル・円が下げている面もあるだろう」との見方を示した。
株式
東京株式相場は続落し、TOPIXと日経平均は約1カ月ぶりの安値を付けた。円高進行で業績への悪影響が懸念された自動車株を中心に、ニューヨーク原油先物の下落を受けた鉱業や石油など資源関連株、証券や保険などの金融株が売られ、東証33業種は全て安い。金融株は、米大手銀行幹部の慎重な業績見通しの発言も響いた。
TOPIXを構成する2132銘柄中、下落は1979に達し、上昇は125にとどまった。売買代金上位ではトヨタ自動車やアドバンテスト、三菱重工業、商船三井、みずほフィナンシャルグループが安い。半面、野村証券が目標株価を上げた富士通、自社株取得枠を拡大した三井物産は小幅高。
UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの小林千紗日本株ストラテジストは「買い手不在の展開が続いている」と指摘。米連邦公開市場委員会(FOMC)などこの先イベントが多く、為替の不透明感も強いため、積極的に買うにはもう少し様子を見たいという雰囲気が強いと話した。
債券
債券相場は上昇。前日の米長期金利が低下したことや、日銀が実施した国債買い入れオペの結果を受けて買いが優勢となった。
りそなアセットマネジメントの藤原貴志債券運用部長兼チーフファンドマネジャーは、米国では雇用統計発表後でも利下げ幅が25bpになるのか、50bpになるかまだ分からないだろうと指摘。欧州中央銀行(ECB)の利下げも見込まれて世界的に金利に下方バイアスがかかる中、商品市況の下落もあり国内金利が上昇することも期待しにくいと話した。