必要がなければそばにいかない…尾崎繁美さんが「愛する息子」に大切にする「距離感」
勉強よりも伝えたかった「人への気遣い」
2023年秋に、裕哉が雑誌のインタビューで父と母について語ったことがあります。 「母は『勉強しなさい』とあまり言わないけれど、他人に対する気づかいやマナーについては厳しい人でした。他人に対して使えるものは、気持ち以外もしっかり使いなさいと。お金ならチャリティなどがありますし、時間も、頭も、心ならおもてなしとか。ちょっとした格言をもちいて心がまえを教えてくれました」(出典/「CHANTO WEB」2023.10.29) ここで息子が言っている「この使えるもの」とは、気を使う、お金を使う、時間を使う、頭を使う、体を使うなど、人に対して使えるもの、という意味で、そのことを教えたことがあったのです。 これは下町育ちの私が母親や祖母、住職さん、気学の大家から受け継いでいることでもあるのですが、ことわざや言い伝えなど昔の人の言葉には、知恵や真理が詰まっているなと感じることが多く、人生に対しての洞察や教訓を与えてくれるなと思います。なので、息子にもそういったことを伝えていきたいと考えました。 他にも「思いやり」が何より大切で、思いやりには「目配り、気配り、心配り」の3つがあると伝えてきました。目配りと気配りは自分がしてあげたいことで、誰にでもできる比較的簡単なことですが、心配りだけは相手側に立って考えること。相手が望むことを察する能力が必要です。心を配れる人になれたら、真の思いやりのある人になれると伝えてきました。それと、”心配されるより、心配りをしなさい”とも話しました。心配という字に「り」を付けると、「心配り」になります。自分が心配される人になるのではなくて、人に対して心を配れる、配慮のある人になりなさいと、私の願望と智恵のようなものを息子に言ってきたのです。 たまたま偶然見つけた息子のインタビュー記事でしたが、私が信念としてきたポリシーのようなものが、息子に根付いていることを知ることができてとても嬉しかったです。 子育てをしていると迷いや悩みは尽きませんが、親がこれを本気で伝えたいという想いは子どもに届くのではないかと私は思っています。
尾崎 繁美