ヤンキース田中将大を悩ますメジャーのシフト守備
ヤンキースで開幕から無傷の4勝を挙げている田中将大投手は、地元紙で「ミスター・アジャストメント」と称されている。メジャーの日程、公式球、ストライクゾーン、マウンドの堅さなど、日本との環境の違いに順応して修正していく能力の高さが、評価されているものだ。その田中が、これから経験を踏みながら、さらに適応しなければならないのが、近年のメジャーでは多くの球団が取り入れている『シフトディフェンス』だ。 3日のヤンキース vs レイズ戦では、レイズのマイヤーズが右打席に入った二回無死一塁、ヤンキースは、二塁手が定位置から消え、セカンドベースのややショート寄り付近へ。一、二塁間をがら空きにして、3人の内野手が、二、三塁間をカバーするという極端なシフトを敷いた。結果的には、捕ゴロとなり、打者はバッターボックスを出てから、その打球に当たったため、守備妨害を取られた。マイヤーズが、空いた一、二塁間を狙った結果だったか、どうかはわからないが、外角に落ちるスプリットを追いかけてのバッティングだった。投球動作に入る前に、振り返って、その特殊なシフトを確認していた田中は、おそらく味方の守備位置を頭に入れて配球を組み立てたはずだ。 この時、テレビの実況が、「このようなシフトディフェンスは、テッド・ウィリアムスの時代からありましたよね」と、語っていたが、ここ最近メジャーで流行しているシフトディフェンスの先駆者が、レイズのマドン監督である。 この知将が、画期的とも呼べるシフト守備を敷いて、ア・リーグ初優勝を果たしたのは、2008年。以来、最近では、ヤンキース、レッドソックスも、打者によっては、シフトディフェンスを導入して、珍しいことではなくなった。日本でも、スコアラーが打球方向をカウントや球種、走者の有無別に統計したものを用意して、コーチが、守備位置の移動を指示しているが、ここまで極端なシフトは、そう見られない。