アトレティコの久保建英獲得は事実なのか?スペイン紙番記者「その報道は“でっち上げ”で獲得の動きはない。しかし興味がないのかと言われれば…」
ここ最近、アトレティコ・マドリーがレアル・ソシエダMF久保建英の獲得に動いているとの噂が出回っている。その信憑性について、スペインのスポーツ新聞『ムンド・デポルティボ』のアトレティコ番に聞いてみた。 久保建英は現地スペインでどう評価されている? 『Gol Digital』や『Fichajes.net』や『STRIKERS』といったフットボール記事を扱うスペインのサイトはここ最近、アトレティコが久保獲得に躍起になっていることを報じてきた。しかし『ムンド・デポルティボ』のアトレティコ番ハビ・ゴマラ氏によれば、そういった情報は信じるべきではないとのことだ。 日頃からアトレティコの練習場やスタジアムに通うゴマラ氏は、過去にはFWルイス・スアレス、FWアントワーヌ・グリーズマンのアトレティコ移籍(後者は復帰)をどこよりも早く報じた実績があり、ここ最近では同クラブがビジャレアルMFアレックス・バエナを獲得に向けて動いていることをキャッチしている(本人は『情報源は言えないが、実際にそうした動きを見せている確認は取れた』と語る)。 アトレティコに精通しているゴマラ氏によれば、現在久保獲得の動きを報じているメディアには、一切信憑性がないという。 「久保は今のところ、アトレティコの補強プランには入っていない。スペインでアトレティコの久保獲得を報じているメディアは、こちらでは誰も信用していない、イエロージャーナリズムの黄色い煙を吐くメディアだよ。そしてどこかの記事で良い反応があれば、違うサイトが似たような噂を“発明”するんだ」 「アトレティコが久保獲得に動いているという報道は、現時点では“でっち上げ”でしかない。そうした報道をするメディアは取材も行なっていない、メディアと名乗っていいのかすら分からないアマチュア以下の媒体だ。そうしたサイトに掲載されているニュースは、すべてがクリックベイトと言っていい。こちらでは誰も信用していないそうしたメディアの記事を日本の立派なメディアが引用し、確信犯的にまるで事実のような見出しで紹介しているとしたら、大きな問題のように感じるけどね」 その一方でゴマラ記者は、アトレティコが久保に興味を持っていることは否定しなかった。ただし、それはディエゴ・シメオネ監督ら現場レベルの話ではなく、クラブ首脳陣の考えだ。ミゲル・アンヘル・ヒル・マリンCEOは以前からアジア人選手を獲得する意欲を持っており、レアル・ソシエダFWのことも意識しているという。 「アトレティコの最大株主でもあるミゲル・アンヘル・ヒルは、アジア市場の開拓を以前から目指している。だから久保にも興味を持っているよ。過去にイ・ガンイン獲得を狙ったようにね」 「ただ、もし久保の獲得を本格的に考えるとしたら、市場において“獲得しない方が損をする”くらいの出方をしていないといけない。というのも、アトレティコの補強のプラオリティーはほかにあるからだ。加えて久保の契約解除金6000万ユーロは高過ぎる」 「アトレティコが来夏に獲得したいのはビジャレアルのアレックス・バエナ、守備的MF、左サイドバック、それとセンターバックだね。久保の主戦場である右サイドについては、今季ジュリアーノがブレイクを果たした。シメオネの三男だが、しかしその実力と若さゆえの勢いによって今季アトレティコで居場所を勝ち取っている」 「いずれにしても、今のところアトレティコは久保の獲得を考えてはいないよ。たとえヒル・マリンが興味を持っているとしても、それは何十人の中の一人、ということだ」 聞き手=江間慎一郎