グルメ放送作家が選んだ2024年の名店! 「すべてが愛おしすぎる」昭和の大衆食堂とは?
〈2024 食通が惚れた店〉
みんなが再び日常的に外食を楽しめるようになった2024年。インバウンドの盛り上がりもあり、飲食業界も新しいチャレンジに目を向けた一年だったのではないでしょうか。 そんな2024年に、グルメ情報を熟知した有識者が惚れ込んだお店や料理についてアンケートを実施。「最も印象に残った店の一品」「3,000円以下のお手軽グルメ」「おすすめのお取り寄せ」をうかがいました。 今回は、食にまつわる番組を数多く手がける放送作家の塩沢航さんにお答えいただきます。
教えてくれる人|塩沢 航
小山薫堂事務所「N35」の放送作家。1975年生まれ。師匠・小山薫堂の一番弟子にして、師匠譲りのグルメ作家としておなじみ。主な担当番組は「アナザースカイ」「オモウマい店」「有吉くんの正直さんぽ」など。「パレ・ド・Z」「リモートシェフ」など食にまつわるコンテンツも多数担当している。
2024年のベストレストラン
Q. 2024年、最も印象に残った店の一品を教えてください A. 「鮨 一幸」の「トロ松」です
言わずと知れた札幌の名店が、まさか東京に出てくるなんて。工藤順也という寿司職人は、タネへのアプローチ、理想を形にする気概と技術、そして見惚れるほどのしなやかな所作、すべてにおいて隙がない。そんな男が銀座に構えた新たなる城は、美しくも押しつけがましくなく、彼の美意識を寸分違わず体現している。秋の名物、トロ松も健在。それは、酢飯の上に細かく裂いた松茸、トロのたたきをのせ、サッとあぶることで、松茸の隙間という隙間にトロの脂が溶け出した一貫。言葉にならない。言葉はいらない。
鮨 一幸
住所: 東京都中央区銀座5-11-12 日総第26ビル 3F
アンダー3,000円のお手軽グルメ
Q. 2024年に食べた〈3,000円以内の感動の味〉を教えてください A. 「四條食堂」の「カレーライス」と「正油ラーメン」です(いずれも700円台)
北海道・旭川四条駅(無人駅)の前に広がる商店長屋の一角に、その店はある。まるで映画のセットのような、昭和の大衆食堂。雪に埋もれた立て看板も、結露したガラス戸も、年季の入った品書きも、そして、店を一人で切り盛りするお母さんの人情味も、そして、守り続ける味も、すべてが愛おしすぎた。今、思い出しても涙が出そう。殿堂入り。