「路面電車が信号無視したら…」違反になる? 知らない人多い「黄色い矢印」って何? クルマの運転手があまり知らないコトとは
路面電車の信号を誤って覚えているドライバーも散見される
全国の複数の地域では、路面電車が活躍しています。 その一方で路面電車が信号無視をしてしまう事例もたびたび発生していますが、路面電車の違反は取り締まりの対象になるのでしょうか。 【画像】これが「謎の矢印」です。(17枚)
現在、北海道や東京都、愛知県、京都府、広島県などの全国17都市において路面電車が活躍しています。 一般的に路面電車は道路上を自動車とともに走っており、車窓からゆったりと街の景色を眺められるほか、電車自体のレトロな雰囲気を楽しめます。 また、路面電車が走る道路の交差点などには自動車用の信号機に加え、路面電車用の信号機が併設されることもあり、普段その地域にいない人からすると珍しい光景といえるでしょう。 なお信号機に関しては、路面電車も自動車と同じように青信号のときは直進、左折、右折が可能で、黄信号および赤信号であれば停止線を越えて進行してはいけません。 ただし信号機の下部に「黄色の矢印信号」が表示されている場合、赤信号または黄信号にかかわらず路面電車が矢印の方向に進行できることを意味するため、クルマやバイクは誤って進行しないよう注意が必要です。 さらに、信号に「赤色の×印」が表示されているときは路面電車のみが停止することを意味しており、他の車両が従う必要はありません。 ときどき県外から来たドライバーが意味を勘違いして停止し道路が渋滞するケースもみられることから、路面電車の走行する街をクルマで観光する際には信号の意味を覚えておくと良いでしょう。 このように路面電車も自動車と同様、信号機に従って走行しますが、過去には路面電車が信号を見落として交差点を通過してしまう、いわゆる「信号無視」の事案がたびたび発生しています。 最近では2024年11月9日に熊本市電の運転手が交差点を赤信号で停車中、本来は停車を継続しなければいけないところ、信号を誤認して直進する事案が起きました。 路面電車はその大きさゆえ、他の車両と衝突すれば大事故につながるおそれもありますが、路面電車も自動車のように交通違反の取り締まりを受けるのでしょうか。 結論から言うと、たとえ路面電車であっても交通違反をすれば取り締まりの対象となります。道路交通法第7条では路面電車を含め、車両が信号機に従うことを義務付けており、信号無視をすれば当然交通違反が成立します。 ちなみに警視庁のウェブサイト「反則行為の種別及び反則金一覧表」には『路面電車についても違反が成立する場合は、大型車欄の反則金となります』と明記されており、違反をすれば大型車と同じ反則金が科されます。 加えて道路交通法第22条では路面電車の最高速度について次のように規定していることから、万が一路面電車が速度超過をしてしまった場合も取り締まりの対象となる可能性があります。 「路面電車又はトロリーバスは、軌道法の規定に基づく命令で定める最高速度をこえない範囲内で道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては当該命令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない(条文を一部抜粋)」 たとえば道路標識によって最高速度が時速30キロに制限されている道路の場合、路面電車はそれを超える速度で走行してはいけません。 なお路面電車の速度については「軌道運転規則」の第53条で、動力制動機を備えたものについては最高速度を時速40キロ以下、平均速度を時速30キロ以下とすること、その他のものについては最高速度を時速25キロ以下、平均速度を時速16キロ以下にすることが決められています。 このように路面電車は最高速度が自動車と比べて低く設定されているほか、停留所間の距離が近くスピードが出にくい傾向にあり、実際のところ路面電車がスピード違反で取り締まりを受ける可能性は非常に低いといえるでしょう。 ※ ※ ※ 路面電車が走る長崎市では、長崎県警が路面電車専用の「黄色い矢印信号」について意味を間違えないようドライバーに注意を呼びかけています。 路面電車に関しては原則として車両が軌道敷内を走行してはならないといった決まりもあるため、改めて交通ルールを確認しておくことが大切です。
元警察官はる