【スズキ フロンクス】こだわりのボルドー、採用した理由と採用までの困難
スズキはコンパクトSUVの『フロンクス』を発表。そのインテリアデザインは海外仕向仕様と共通ながら配色は異なっている。その意図は何か。 【画像全10枚】
◆仕向け地でどう見せるか
フロンクスはスズキのグローバル戦略車として開発された。当然室内のカラーに関してもそういった意識が込められている。しかし、日本と海外、特にフロンクスの生産が行われるインドでは日差しの強さや高さ、空気感が異なることから同じカラーでも違って見えることがある。その点についてどのような気配りがあったのだろう。
スズキ商品企画本部四輪デザイン部インテリア課でCMFを担当した江口奈津美さんは、日本とインドの違いについて、「光の入り方が違うことから、(カラーの)見え方が違っています。日本はしっかりと日差しが降り注ぐのですが、インドはあまり空気がきれいではないので、ちょっとくすんだ、黄みがかった光が入ってくるんです。そこで、日本で開発したボルドー色を現地に持って行って、確認をしながら進めていきました」と説明。
しかし、その配色には違いがある。助手席前の3段のコンビネーション加飾部分の真ん中には日本仕様ではパールブラックを採用しているが、海外仕様は黄みの艶消しで少しざらついたサンドシルバーを採用している。江口さんは、「日本に持ってくると少し押し出しが強い印象だったのです。そこでより洗練さ、上質さが感じられる方向にすることで空間を引き締めるようなイメージで変更しました」とその理由を語る。
そして、「ボルドー色も使っていますので、ブラックの中にボルドーと黄みの加飾が付いていくと少しやりすぎでというお客様が出てしまうのではないかなと思い、黒の艶(ピアノブラックではなくパールブラック)で見せるような配色に変更しました」という。
また、ドアのインナー部分も日本と海外モデルでは違っている。どちらもブラックの中にレザー調の部分のみボルドー色になっているが、海外モデルは、「そのレザーの外周もボルドー色でぐるりと回しています。しかし日本に持ってくるとボルドーの色味はとてもいいのですが、少し強いかなという印象でしたので、そのエリアを小さく調整しました」と説明。その結果、「レザー調の質感がより際立つ方向でできました」と述べた。