【スズキ フロンクス】こだわりのボルドー、採用した理由と採用までの困難
◆ボルドーの配色の妙
そして江口さんが最もこだわったのもそのボルドー色だった。「コンパクトサイズのクルマですのでより軽快感のある方向でブラウン系も考えていました。しかし、より上のクラス、サイズ以上に大きく立派に見せたいという思いからボルドー色を選びました」と江口さん。
ただ、「デザインのプレゼンテーションでボルドーのすごく良い色味で提案をしたのですが、その時に反対意見が出たらどうしようと思っていました。しかし、満場一致でフロンクスの個性としてボルドー一本でやっていこうとなり、全ての仕向け地においてブラックとボルドーで進めることが決まりました」とコメント。
また、色味についても、「調色が本当に大変な色でした」と江口さん。「助手席前の部分は前や横のウィンドウから光が入ってくるんです。そうなると、グリーンガラス越しの光ですので、運転席から見ると少し色が変わって見えるんです。例えば今よりも黄み寄りにしすぎるとブラウンになってしまいますし、逆にそれを考慮して青みに振りすぎてしまうと、血色が悪いような感じの色味になってしまう。またブラックとのコンビネーションもありますので、その調整は本当に気を使いました」とその苦労を振り返る。
最後に江口さんは、インテリアのシートについても見て欲しいという。「シートのメインファブリックには黒い光沢感のある織物を採用していますが、これは環境に優しい工程でできています」という。通常、布は織った後に染色する。しかし今回は、「原着糸(原材料着色糸)、糸自体に色がついているものですので織るとそのまま使えるんです。つまり染色が不要になりますので、工程も省けますし、染料や大量の水の使用もなくなり、環境に優しい素材をつかっています」と述べた。
少し高級感のあるインテリアは見応え十分だ。しかも質感や触感も高いので、所有する満足感も高まることだろう。
レスポンス 内田俊一