竹内まりや「65歳を過ぎ〈残り時間〉をリアルに意識した。桑田君夫妻に誘われて始めたボウリングにハマってます」
◆音楽が生まれる時間 もう一人、私の人生に欠かせない存在が、音楽活動のパートナーであり、私生活の伴侶でもある(山下)達郎です。27歳で結婚して以来、家事や育児を楽しみながら、自分のペースを守って音楽活動を続けてこられたのも、それを許してくれたまわりのスタッフと、達郎の理解と協力があってこそ。 夫婦としてはもちろんですが、私たちの関係に一番ふさわしい言葉は「親友」です。今回のアルバムも含め、結婚以来、プロデュースを彼に任せてきたのも、根源的にわかってくれるパートナーだから。 同業者であることがプラスとなって、日常生活の中で自然に仕事の話もできますし、くだらない話をして笑い合ったり、困っていることを相談したり、昔からお互いに気を遣わなくていい関係です。 もちろん、時には意見が異なる場合もあります。だからと言って揚げ足を取るようなケンカになるわけではなく、互いの意見に「それも一理あるかもね」と、論理的に違いを認め合える関係。 二人とも大の話し好きなので、最近の社会情勢など顔を合わせている間は常に何かしゃべっていますね。夫婦揃って夜型で、私が曲作りに一番集中できるのは深夜、丑三つ時。(笑) しかも、「これだ!」という曲のフレーズが降りてくるのは、なぜかシャンプーしている時が多くて。ドラマ『Around40~注文の多いオンナたち~』のテーマソングとして作った「幸せのものさし」のサビも、髪を泡だらけにしている最中にひらめいて。 脱衣所には必ずiPhoneを置いておき、突然降りてきたフレーズを即座にハミングして録音できるようにしています。 楽曲の中には、ありがたいことに世代を超えて聴いてもらえているものもあります。1984年に作った「プラスティック・ラブ」が、日本の80年代シティ・ポップに注目している海外の若者の間で話題、と耳にしたのが数年前。 いつの間にか動画サイトで何千万回も再生されたり、ドイツやカナダ在住の若い男性からファンレターをいただいたり、思わぬ反響があるのは本当に不思議ですね。シティ・ポップの最盛期の楽曲が、時代や国を超えて聴いてもらえている。作品を長く愛していただけるのは、ミュージシャンとして何よりもうれしいです。 いま欧米では、CDより、アナログ音源の需要が高いのだそうです。海外ファンのニーズも考えて、今回のニューアルバムはCDのほかに、2枚組のアナログレコードやカセットテープでも販売することにしました。
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