竹内まりや「65歳を過ぎ〈残り時間〉をリアルに意識した。桑田君夫妻に誘われて始めたボウリングにハマってます」
◆女性たちを元気づけたい 昨年11月にデビュー45周年という節目を迎え、2025年はツアーをしようと決意しました。 ツアーは44年間にわずか3回と超のんびりペースだった私ですが、年齢的に、この先みなさんにお目にかかれる機会はそうたくさんないだろうと思ったので。久しぶりにみなさんの前で歌うわけですから、万全の態勢で臨まなくては。 21年に計画していた全国ツアーが、コロナ禍によってキャンセルを余儀なくされて、とても残念だったので、待っていてくださるお客様のためにも、ぜひともリベンジしたいと思ったんです。 ただ、全国各地のステージに立つには体力も必要です。ジムに通わなきゃと思っているのですが、ぜんぜん行けていなくて。(笑) 最近ハマっているものですか? あまり頻度は多くないけれど、ボウリングでしょうか。出雲に帰省した時、兄と一緒に数十年ぶりに地元のボウリング場で投げてみたら、昔取った杵柄で120くらいのスコアが出たんですよ。 そのうちにボウリングが趣味のサザン(オールスターズ)の桑田君夫妻に「一緒にやらない?」と誘われて。去年の誕生日にルビー色のマイボールとマイシューズもプレゼントしていただき、時折、ご一緒させていただいているうちに面白くなって。 この前はなんとスコア162が出ました! ツアーを乗り切るための体力アップに役立っているかどうかは、わかりませんけど。(笑) 年齢を重ねていく中で、この先やりたいことも考えています。これまで自分が得てきたものを、何かしら社会に還元していきたい。表立って見えなくても、私なりに世の中に恩返しをしたいというか。 音楽的には、若い歌手の方に楽曲を提供することなのかもしれないし、次の世代を担うアーティストを支援していくことなのかもしれません。 21年にアップルミュージックが、3月8日の「国際女性デー」にちなんで、各国の女性ミュージシャンから「時代をリードする女性たち」を募った時に参加したのも、その一つ。アレサ・フランクリン、ジョニ・ミッチェル、カーペンターズ、ボニー・レイット、アリシア・キーズなど、私自身が好きでよく聴いていた曲を集めました。 人生につまずいた女性を励ます歌や温かい友情の歌で、女性たちを元気づけ、新たなパワーを育んでもらえたらいいな、と思います。そのプレイリストは、いまも聴いていただくことができますよ。 振り返ってみれば、これまでの人生で無駄だったことは何一つないですし、過去に戻りたいとも思いません。人との出会いに恵まれて、大好きな音楽にずっと携わってこられたことに、ただただ感謝しています。 だからこそ、自分が与えられてきたかけがえのないものを次の世代に渡してくことが、70代からの課題だと思っています。 (構成=内山靖子、撮影=五十嵐隆裕)
竹内まりや
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