啓翁桜、海外に届ける 東根などの生産者団体、法人化
東根市などで啓翁桜を栽培している生産者団体「サクラヒラリ」が、海外向けの発信や輸出に力を入れようと、株式会社に法人化した。任意団体から組織替えすることで、国内外で信用度を高めたいと考えた。今春にマレーシアで開かれるイベントで、本県の啓翁桜をアピールする。 サクラヒラリは、登山家で同社代表の飯沢政人さん(39)=同市=が2022年秋に立ち上げた。世界2位の高さを誇るK2(8611メートル)に県人で初めて登頂するなど、海外活動を通じ、日本の存在感を高めたいとの思いを抱いていた。 日本文化の象徴として、着目したのが、本県が生産量日本一の啓翁桜。約7ヘクタールの園地で、専務の大村由起子さん(52)=山形市=ら約10人のスタッフと共に栽培・出荷に当たる。生産・販売の規模が広がり、本格的に輸出に乗り出そうと昨年10月、会社化した。 香港への輸出をきっかけに今回、マレーシアの主催者側から引き合いがあった。昨年12月下旬に約160本を発送し、輸送方法などを確認した。今春には、現地の大型商業施設で約1カ月間、展示する予定だ。「移動できる桜」(飯沢さん)の強みを生かし、販路開拓につながることを期待している。
会社としては、環境保護や県産品の輸出など農業分野以外の事業展開も検討している。飯沢さんは「100年先も桜が咲き続ける環境を守りたい。そして桜を切り口に、山形県、日本の魅力を世界に届けたい」と話す。