マクロン「台湾発言」とは何だったのか
対中抑止メッセージの観点では、発言は極めて不用意であり、危険だった[中山大学で講演するマクロン大統領=2023年4月7日、広州市:フランス大統領府HPより)]
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、2023年4月上旬に中国を国賓として訪問した後、フランスへの帰国の飛行機の中で一部メディアとのインタビューに応じ、そのなかで、「台湾の問題をエスカレートさせることは我々の利益になるのか? ならない」、「我々の問題ではないものに巻き込まれる危険がある」、「米国の家来にはならない」などと述べた。 これらのマクロン発言は世界を駆け巡り、その余波は極めて大きくなった。そこで以下では、まずは発言の文脈を確認したい。そして、どのような意味で不用意・有害だったのかを改めて振り返るが、そのうえでここでの主眼は、この発言がもたらした、意図せざるプラスの効果である。「マクロン効果」とでも呼べるだろうか。 実際、マクロン発言をいわば反面教師として、台湾の重要性に関する議論が欧州においても高まっている。マクロンの台湾発言については、こうした影響を含めて評価することが求められる。
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鶴岡路人