2025年の値上げ、4月までに6千品目 24年比6割増ペース 春先まで値上げラッシュ続く
今年の値上げ、1万2520品目 前年比6割減少、抑制の1年
主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした2024年の飲食料品値上げは累計で1万2520品目を数えた。年初に想定した1万品目の水準を上回ったものの、バブル崩壊以後の過去30年間でも例を見ない記録的な値上げラッシュとなった23年の3万2396品目に比べて約6割減少した。22~23年にかけて続いた、月間2千品目超の水準が常態化した「値上げラッシュ」は抑制された1年となった。 2024年の値上げを月別にみると、年間で最初に1千品目を超えた2月(1626品目)は、パスタソースなどパウチ食品のほか、トマトジュースなどトマト加工品で一斉値上げとなった。4月(2897品目)は、23年10月以来6カ月ぶりに2千品目を超え、ハム・ソーセージなど加工食品で一斉値上げとなった。以降は月1千品目を下回る水準が続くなど値上げラッシュは「ピークアウト」の兆しもみられたものの、10月には酒類・飲料を中心に年内最大となる2924品目で値上げとなったほか、11月は11カ月ぶりに単月で前年同月を上回るなど、飲食料品における値上げペースが再び加速する兆しもみられた。
総じて、前年の急激な円安進行を決定打とした原材料コスト高のほか、電気・ガス代などのエネルギーコストの高騰は一服感がみられ、年間では2022~23年に比べて大幅に抑制された水準が続いた。また、物価上昇に賃上げペースが追いつかず、プライベートブランド(PB)製品など安価な代替製品へのシフトや、値上げ後に購入点数が減少するといった消費行動、いわゆる「値上げ疲れ」を背景に、年初に多くみられた本体価格の引き上げから、年後半では内容量減による価格の「据え置き・維持」へのシフトが目立つようになるなど、本体価格への転嫁には限界感も強まった。人件費や包装・資材費など、原材料高以外の値上げ圧力が高まるなかでも積極的な値上げがしづらい状況が続き、総じて価格設定の判断が非常に難しい1年となった。 一方で、トマトのほかオリーブオイルやカカオ豆、海苔、オレンジ等では天候不順を要因とした不作により価格が高騰し、チョコレートなど菓子製品では断続的な値上げが続いたほか、オレンジジュースでは休売やサイズ・容量の制限が発生するなど、原材料高の影響を大きく受けたケースもみられた。