『アンメット』杉咲花&若葉竜也、芝居に見えない異次元の役作り Pに与えた“初めての体験”
――三瓶の表情1つで、視聴者にも「今、どんな感情でいるのか」が伝わるお芝居をされていると感じます。 3話の冒頭で、「僕は川内先生の記憶障害を治したい」と伝えるシーンも、「ここでは、何を考えているか分からない三瓶ではなく、人間らしい三瓶を見せてほしい」と一言、言っただけで、驚くようなお芝居をしてくれました。いつも若葉さんは、ただ三瓶であろうとしているんです。「こういう表情を作ろう」としているのではなく、「三瓶の感情になると自然とそうなる」、そんな表現に、すごみを感じています。でも7話で、ミヤビに「三瓶先生を頼っていいですか?」と聞かれて、「うん」とうなずくシーンが、「三瓶先生の、“うん”の破壊力!」と話題になったときは、ここが視聴者に刺さるのか、まだまだ僕の想像力が足りていなかったなと驚きました(笑)。
千葉雄大が噛んだシーンも芝居の良さで採用
■千葉雄大の噛んだシーンが話題に ――話題となったシーンといえば、5話の星前役の千葉雄大さんが台詞を噛んだ場面を、そのまま使うという判断にも驚きました。 あの芝居が一番良かったから、監督が採用したというだけなんですよね。僕もプレビューを見て「素晴らしいお芝居だな」と感じたので、「これ、噛んでるけど、どうしますか?」という話すらしなかったです。 ――お芝居が良かったから使った、ただそれだけだと。 そうです。僕は、人は噛むものだと思っているので。もちろん、何かを説明するパートとか、噛まなくていいところで噛んだテイクを使っても、分かりにくかったりするだけだからそんなことはしません。あのシーンは、千葉さんが星前の感情になっているからこそ言葉に詰まったのであって、感情が乗っていることが伝わるし、ドラマとして何の問題ないと判断しただけなので、「どうですか! 噛んでいるのにそのまま使ってますよ!」という意図は一切ないです(笑)。 ――結果としては、「ほかのドラマで見たことがない」と大きな話題になりましたね。 ここまで、千葉さんが星前のキャラクターをしっかり積み上げてきてくれたからこその反響だと思います。千葉さん、そして吉瀬(美智子)さんはいろんな役どころを演じてこられた俳優さんですが、『アンメット』でも本当にいいお芝居をしてくださっていて。星前は、上手くやらないと「明るいリーダー」というドラマの無機質な記号に収まりかねないところを、生きた星前先生らしさを乗せるために、千葉さんが試行錯誤してくれています。吉瀬さんは、特に序盤では柔らかな吉瀬美智子らしさを封印して津幡役に挑んでくれました。原作と同じ津幡の髪型も、吉瀬さん自ら「これどうかな?」って作ってきてくれて。『アンメット』を良くするために、日々、キャストたちが、モチベーション高くいろいろなことをやってくれているんです。