ウクライナ、ロシア領土にミサイル空爆…プーチン大統領は核脅迫(1)
ウクライナ軍が米国から支援を受けた長距離ミサイルATACMS(エイタクムス)で19日未明(現地時間)、ロシア本土を攻撃した。2日前、米国政府が供与した長距離ミサイルでロシア本土の打撃を許可するという報道が出てからウクライナが敢行した初めてのロシア本土攻撃だ。 【写真】ジョー・バイデン米政府がロシア領土への攻撃を許可したATACMS発射の様子 この日、ロシアは核兵器を持たない国が核保有国の支援を受けてロシアを攻撃しても、核保有国の攻撃行為と見なして核兵器で報復することができるという核兵器使用に対する教理(ドクトリン)を改正した。 ロシアがウクライナを侵攻して1000日に入ったこの日の戦争様相は新たな局面を迎える可能性が高まった。 AP通信によると、ロシア国防省はこの日、「午前3時25分ウクライナ軍がATACMS6発でブリャンスク州カラチェフを攻撃した」とし「われわれのS-400とパーンツィリミサイル防衛システムの運用要員がこれらミサイルのうち5発を撃ち落とし、1発に打撃を加えた」と明らかにした。打撃を受けたミサイル1発の残骸が軍事施設に落ちたが人的・物的被害はなかったとした。 ウクライナ軍総参謀部はこの日、ATACMSミサイルでロシアを攻撃したかどうかは確認しないまま「カラチェフにあるロシア軍第1046武器庫に火災被害をもたらした」と明らかにした。総参謀部は「過去ドローンで攻撃したロシア武器庫を攻撃した」とし「ウクライナに対するロシアの軍事攻撃を中止しないなら、ロシア侵略軍の武器庫破壊は続くだろう」と明らかにした。 ◇ウクライナ「バイデン、攻撃許可」2日後にロシア打撃…戦争は新たな局面へ ウクライナメディア「RBCウクライナ」は、消息筋が「われわれは初めてATACMSを使ってロシア領土を攻撃し、ブリャンスク地域の軍施設を成功裏に打撃した」と話したことを伝えた。 RBCウクライナは「該当の武器庫がロシア国防省傘下のミサイル砲兵局(GRAU)の第67武器庫」と報じた。ウクライナ軍は先月、該当の武器庫をドローンで空爆を加えて滑降爆弾や対空ミサイルなど各種武器と北朝鮮がロシアに提供した弾薬数十万発を除去したと主張していた。ウクライナ軍のATACMS攻撃はバイデン政府がロシアに対する長距離ミサイル攻撃を許可したというニュースが出てきてから初めての打撃事例だ。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は17日、米国が北朝鮮軍のロシア派兵に対応するためにウクライナ軍がATACMSなどでロシア本土を攻撃するのを許可したと伝えた。ロシアはこのようなことが伝えられると、「第3次世界大戦の始まりに向けた非常に大きな動き」としながら反発した。 ◇ウクライナ「ロシア軍施設に成功的打撃」 ロシア官営「タス通信」はこの日、プーチン大統領が改正された核ドクトリン「核抑制分野の国家政策の基礎」を承認する大統領令に署名したと報じた。改正核ドクトリンの核心は、核兵器を保有しない国が核保有国の支援を受けてロシアを攻撃する場合、これを2つの国家の「共同攻撃」と見なすということだ。核抑制対象になる国と軍事同盟、核抑制で対応できる軍事的脅威の範囲を従来よりも広げて、ロシアの核兵器使用のハードルを下げた格好だ。従来の核ドクトリンでは核兵器を保有した国の攻撃だけを核報復攻撃の対象としていた。 これは西側核保有国である米国と英国・フランスの支援を受けているウクライナを狙ったものだ。ウクライナがこれらの国々の支援を受けてロシアを攻撃すれば核を持っていないウクライナも核で攻撃することができるという警告だ。クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官はこの日の会見で「ウクライナが西側の在来式ミサイルを使えば核対応が後に続く可能性がある」と警告した。 ウクライナがATACMSでロシア本土を攻撃するに従い、今後ロシアの対応に合わせて戦争状況はさらに悪化する場合があるという見通しが出ている。ロシアが「共同攻撃」に対してどう規定するかによって、ウクライナに武器を支援した西側の核保有国も核攻撃の対象になる可能性があるとの解釈も出ている。