尊富士、速攻で3勝目 「立ち合いでもっと当たれ」伊勢ケ浜親方からの注意に褐色の弾丸になった/九州場所
大相撲九州場所4日目(13日、福岡国際センター)西前頭16枚目の尊富士(たけるふじ、25)は武将山(28)を押し出して3勝目。大関陣は新大関大の里(24)が初黒星を喫した。土俵際で阿炎(30)のすくい投げに逆転負け。豊昇龍(25)は宇良(32)を上手投げで破って4連勝とした。琴桜(26)は若隆景(29)を寄り切り、連敗を免れて3勝1敗。4連勝は豊昇龍と平幕の熱海富士(22)、隆の勝(29)、阿武剋(24)の4人となった。 右足を後方に引いた独特の仕切りで、腰を決める。立ち合い。尊富士が鋭角的に突き刺さる。日焼けした体が、褐色の弾丸となった。 「自分にプレッシャーをかけ過ぎず、自分の相撲を取りたい。まだまだいけると思う。気持ちと体がついてくれば…」 はずに掛かった左腕を力強く伸ばすと、武将山の体は横向きに。そのまま一気に押し出した。通算出場を100とした節目の一番を白星で飾り、3勝目を挙げた。 3月の春場所では110年ぶりの新入幕優勝を遂げたが、その際に右足首の靱帯(じんたい)を損傷し、5月の夏場所は全休。十両に転落した7月の名古屋場所は途中出場したが、今度は左大胸筋を部分断裂して10日目から再休場した。3場所ぶりに返り咲いた幕内の土俵で、速攻がさえる。 2日目の打ち出し直後、休場している伊勢ケ浜部屋の兄弟子の横綱照ノ富士から携帯電話で立ち合いの甘さを指摘された。前日の取組後には師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)から「立ち合いでもっと当たれ」と注意を受けた。2人から褒められた記憶は「優勝したときくらい。(注文は)きりがない。それがうちの部屋の強み。上を目指す部屋なので」と苦笑いを浮かべた。 100回出場時点の成績は87勝13敗。勝率は・870にもなる。今年の5場所で2度優勝している1学年下の大の里は74勝26敗(・740)。照ノ富士は71勝29敗(・710)だった。 1場所の勝ち星にすると、15(日/場所)×8割7分=13・05勝。優勝ラインの高い水準だ。尊富士は「サポートしてくれる人のおかげでこういう勝敗がある」。舞台に立ちさえすれば、風を起こす底力がある。(奥村展也)