TSMC工場の誘致に成功 陳高雄市長、迅速な産業転換に意欲/台湾
(高雄中央社)半導体受託製造世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の工場誘致に成功し、ハイテク産業のサプライチェーン(供給網)を形成しつつある南部・高雄市。陳其邁(ちんきまい)市長は28日までに中央社の単独インタビューに応じ、迅速な産業転換を後押しすることが現時点の重要な仕事だと語り、「限られた時間の中で高雄のために何が残せるかが市長としての責任だ」との認識を示した。 1980年代以降、高雄のハイテク産業の発展は他県市の後塵を拝していたと陳市長。産業転換について「全力で追いかけなければならない。逃げ道のない戦いをしている」と語る。温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするネットゼロへの転換や都市環境の改善は就任後の4年間で大きく進展したものの、より努力しなければならないとの姿勢を崩さない。「前進は必須だ。どうやってリードを確保するかが重要だ」と述べた。 TSMCによる投資については、鉄鋼業や石油化学工業を含む関連産業にデジタルトランスフォーメーション(DX)をもたらしたことに触れ、「高雄の都市構造転換のけん引役を担っている」との認識を示した。またTSMCの受け入れのため、四つの再生水プラント建設や楠梓科技産業園区の超高圧変電所と関連施設の整備による安定した水と電力の確保、周辺道路の拡幅や高速道路のランプ増設などによる交通改善に取り組んだことをアピールした。 ネットゼロに向けた取り組みでは、昨年8月に台湾炭素ガス排出量取引所(TCX)を設立したことや高雄市議会が率先して関連の自治条例を制定したこと、人材を育成する学習施設が成果を出していることなどに言及。市政府は企業がネットゼロへの転換を進める中で競争力を確保し、二酸化炭素排出量の削減や炭素固定などの技術で大企業が中小企業を支援することや、石油化学工業でも順次高付加価値経営に転換すること、高雄を炭素を排出する都市から炭素を資産とする都市に転換できる十分な人材を育成することを望んでいるとした。 また高雄がコンサートの誘致に成功し、経済効果を生み出している点については、交通網整備が鍵だと語った。ライトレール(LRT)が徐々に市民生活の一部になっている他、メトロ(MRT)のレッドライン延伸とイエローラインの建設を進めているとし、将来的に営業距離は112キロ、駅数は114になると利便性を強調した。隣接する南部・屏東県への延伸が計画されている台湾高速鉄道(高鉄)については、現在終点となっている左営駅から台湾鉄路(台鉄)高雄駅を経由するルート案を支持すると述べた。 (蔡孟妤、林巧璉、洪学広、張已亷/編集:齊藤啓介)