愛知の「雑煮」が変化 伝統野菜の「もち菜」が「小松菜」に 温暖化などの影響か正月に出荷できず
テレビ愛知
「伝統野菜は必要とされないと、生産されず消滅してしまう」。そう話すのは、東海学園大学客員教授の安田文吉さん。実は近年、愛知県の伝統的な雑煮に入れる具材「もち菜」が手に入らなくなっているのです。 名古屋市中央卸売市場のセントライ青果によりますと、2015年は17トンもあった取扱量が、2016年には4トンに減少。2019年以降はほとんど取り扱っていないといいます。愛知の雑煮の変化から、地域の食文化のあり方を考えます。
正月といえば、雑煮を食べるという方も多いと思います。愛知の伝統的な雑煮は、すまし汁の中に、煮た角餅と「もち菜」を入れたもの。しかし愛知の伝統野菜として使用する「もち菜」の取扱量をみると、2015年は17トンでしたが、2016年には4分の1となる4トンに減少。2019年以降はほとんど取り扱っていないといいます。
愛知県の伝統野菜の種を守る活動をしている、あいち在来種保存会高木幹夫代表世話人に、もち菜が減少している理由を聞きました。高木さんいわく、大きく2つの理由が挙げられると話します。
正月を過ぎると売れなくなる「もち菜」
1つ目は温暖化などの影響です。もち菜は年末の期間に良い状態のものを出荷する必要がありますが、気候の影響でこれまでのタイミングで種をまいてもうまくいかないこともあり、出荷が難しくなってしまったのです。 もち菜は代々、正月の縁起物として親しまれてきました。年末に需要が高まりますが、生育がうまくいかず正月を過ぎると、売れなくなってしまうという点も農家の悩みの種となっています。
小松菜を「もち菜」として販売する地域も
2つ目は、小松菜が浸透しはじめたこと。小松菜に比べてもち菜は甘味が強くなるという特徴がありますが、見た目がよく似ています。さらに小松菜は普段の家庭料理でも使用するため年中作り、売ることが可能です。年末の時期は小松菜を「正月菜」や「もち菜」と名前を変えて販売する地域も。そのため、もち菜から年中安定して栽培できる小松菜に移行した農家が増えたのです。