ロシアのハイブリッド戦術か…バルト海海底ケーブル切断で疑惑拡散
バルト海の海底ケーブル2カ所が切断される事件が起きた。正確な原因はまだ確認されていないが、関連欧州諸国はロシアの関与の可能性の見方を強めている。 英フィナンシャル・タイムズなどによると、17日にリトアニアとスウェーデンのゴットランド島を結ぶ全長218キロメートルの海底ケーブルが切断された。続けて18日にはフィンランドのヘルシンキとドイツのロストク港を結ぶする1200キロメートルの海底ケーブルも切断され、インターネットサービスが中断された。 フィンランド国営通信インフラ運営事業者シニアは会見で「こうした被害は外部からの衝撃がなければ発生しない。地滑りのような水中地震活動によるものではない」と明らかにした。海底ケーブルの修理には通常5~15日ほどかかると説明した。 今回の事件で被害を受けたドイツとフィンランドの外相はこの日共同声明を通じ「サボタージュに対する疑いのある事件。ロシアのウクライナ侵略だけでなく悪意の行為者などのハイブリッド戦術で欧州の安全保障が脅威を受けている」と批判した。スウェーデンとリトアニアの国防相も共同声明を通じ「こうした状況はわれわれの周辺に対するロシアの増加する脅威を背景に評価されなければならない」と明らかにした。 事件の関与者として事実上ロシアを名指ししたものだ。フランス、英国、イタリア、ポーランドの外相も声明を通じ「北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)加盟国に対するロシアのハイブリッド活動が多様性と規模の面で前例のない水準に拡大している」と主張した。 ロシア介入説を裏付ける状況として外信は最近バルト海の海底ケーブル周辺を航行するロシア海軍の艦隊規模が大きくなった点が指摘された。CNNは9月に米高官2人の話として「主に潜水艦、海軍ドローンを運営する深海調査総局(GUGI)を通じたロシアの海軍活動が増加している」と報道した。海底ケーブル周辺を航行するロシア船舶を米国が定期的に追跡しているとも伝えた。 また、昨年スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドの公営放送局が共同で船舶航路と水中監視などが含まれたデータと無線通信などを分析した結果、ロシアが北欧海域で海底ケーブルと風力発電所を破壊する可能性があると疑われるスパイ船舶を保有していることが明らかになった。 ◇切断事故前後に近くを通過した中国船舶 中国関連説も出ている。フィナンシャル・タイムズは船舶位置情報を表示するウェブサイト「マリントラフィック」によると中国船舶が17日と16日に2つのケーブルがそれぞれ切断された時刻の前後にその近くを航行していたことが明らかになったと報道した。この船はロシアのウスチルガ港からエジプトのポートサイドへ向かう途中だった。現在スウェーデン当局がこの船の関与について捜査している。 中国は昨年10月にフィンランドとエストニアをつなぐ海底ガス管とケーブルを損傷している。当時の運航経路記録によると、当時香港船籍でロシアの港を出港した中国の貨物船がいかりを下ろした状態で航海しガス管とケーブルを破損した。ただこの事故が偶発的なものか、故意によるものかに対しては現在まで明らかになっていない。 ただ事故の全貌を明らかにする前に特定国の介入を断定する態度に対する懸念も出ている。EUのボレル外務・安全保障政策上級代表は事件発生当日の記者会見で「事件であれ事故であれ、あるいはだれが何と呼ぼうとだれかに責任を問うのは無責任なこと。火に木をくべるのと同じこと」と話した。正確な原因がわかっていないだけに、特定国を非難するには早いという意味だ。一方、今回の事件に関与したとされるロシアは論評要請に答えなかったとウォール・ストリート・ジャーナルが伝えた。