太陽系の外側は予想よりも “埃っぽい” ことが判明 塵の量の実測結果
太陽系の外側には冥王星などの氷天体が無数にあり、「エッジワース・カイパーベルト」という密集した状態を作っています。エッジワース・カイパーベルトがどこまで広がっているのかはよくわかっていませんが、これまでの予測では太陽から約75億kmを超えた距離で天体の密度が低くなり始めると予測されていました。その場合、空間内にある塵の量も少なくなるはずです。 今日の宇宙画像 しかし、コロラド大学ボルダー校のAlex Doner氏などの研究チームが、NASA(アメリカ航空宇宙局)の冥王星探査機「ニュー・ホライズンズ」の観測データを分析したところ、塵が減少すると予測された距離を超えてもほとんど低下していないことを突き止めました。この結果は、エッジワース・カイパーベルトが予想よりも遠くまで広がっているか、または外側にもう1つのエッジワース・カイパーベルトがある可能性を示しています。
■太陽系の外側にはどれくらいの天体があるのか
海王星の外側には冥王星などの氷天体が無数にあることが分かっています。火星と木星の間にある小惑星帯のように天体が密集していることと、このような天体があることを予測したケネス・エッジワースとジェラルド・カイパーに因み、これらの天体が分布する領域は「エッジワース・カイパーベルト」、天体そのものは「エッジワース・カイパーベルト天体」と呼ばれています(※)。 ※…ただし、エッジワースとカイパーが予測した天体の存在や分布は、現在知られている物とは大きく異なっており、この名称には異論もあります。最近では、正確にはイコール関係ではないものの、ほぼ同義語かつ中立的な語として「太陽系外縁天体」という呼称が使われる傾向にあります。今回の記事では、天体が複数集合して構造を作っていることが分かりやすい表現であることと、原著論文でこの語が使用されていることに基づき、エッジワース・カイパーベルトと呼称します。 太陽から遠く離れた場所にあるエッジワース・カイパーベルトを観測することは困難であり、本格的に観測できるようになってからまだ30年程度しか経っていません。このため、どこまで広がっているのかは現在でも分かっていません。 科学研究の空白地帯となっているエッジワース・カイパーベルトに切りこんでいるものの1つが、NASAの冥王星探査機「ニュー・ホライズンズ」です。世界で初めて冥王星の接近探査を行ったニュー・ホライズンズは、その後もいくつかの延長ミッションを行っています。その1つは、「ヴェネチア・バーニー学生微粒子計数器(VBSDC; Venetia Burney Student Dust Counter)」を使用した、太陽系外縁部の塵の量を測定するものです。 VBSDCは天王星軌道よりも遠くの塵を数える初の観測機器であり、これまで誰も知らなかった情報を得ることができます。例えば、塵は天体同士の衝突で発生するため、塵の量を測定すれば間接的に天体の量を知ることができます。