北朝鮮のスパイか アルカイダのテロリストか あの公安事件はどうなった?
事件報道の現場
こうしたことが起きる背景には、「捜査当局によるリーク」の問題があります。 事件報道の現場では「一歩でも二歩でも、他社より先に報道したい」「他社が大々的に報道する中で、自社だけが報道できない“特オチ”だけは避けたい」との心理が働き、各社が激烈な取材合戦を続けています。捜査情報を一手に握る当局側から見れば、この状態は「メディアをコントロールしやすい環境」でもあります。 大手メディアに長年勤務したフリージャーナリストは「公安捜査関係者と親しくなると、『君だけに教える』と言われて情報の断片やヒントを教えてくれるようになる。『君だけ』のセリフは『特ダネ』の裏返し。当然、報道の扱いも格段に大きくなります」と明かす。ただし、「結局、大山鳴動してネズミ一匹みたいな事件も山のようにありました。その意味では、彼らにうまく使われた、ということなのでしょう」とも言います。 中国や北朝鮮などが絡む「公安事件」は大きく報道されますが、ニュースの受け手である国民は、そういった取材現場の実情も頭に入れておいた方が良さそうです。