就活の面接、対話型AIで練習 理系学生は3Dアバターと「技術面接」も
開発したのは?
「Chu活ボット」は、23年に同大学大学院理工学研究科を修了後、会社勤めをしながら副業として知人とAI関連企業を立ち上げ、その主任研究員も務める水谷林太郎さんが開発しました。AI技術を組み合わせることによって、3Dアバターの面接担当者を相手に、模擬面接を受けることができます。 「Chu活ボット」には、2つの大きな特徴があります。1つは、志望理由や自己PR、ガクチカといった一般的な質問内容だけでなく、技術面接に対応できること。2つ目は、一方的に質問を投げかけるのではなく、質問に対する学生の回答を傾聴しながら、対話を進めるようにプログラムされていることです。回答に合わせて、アバターがその内容を深掘りする質問を次々と繰り出していきます。 デモ動画では、例えば次のように会話が進められていきます。 就活生:学んできた知識を生かして、システムエンジニアとして、社会のインフラとなるようなシステムを作りたいと考えています。 Chu活ボット:具体的にどのようなシステムを作りたいと考えていますか。 就活生:私が特に興味があるのがチャットボットです。なぜなら私は大学院でマルチモーダル対話システムの研究をしてきたので、その知見を生かせるのではないかと考えているからです。 Chu活ボット:その研究で得られた知見を、どのようにチャットボットの開発に生かしたいと考えていますか。 面接が終了すると、すぐに「コミュニケーション力」「問題解決力」「知識獲得力」「組織的行動能力」「創造力」「自己実現力」「多様性創発力」の各項目の結果がフィードバックされます。さらにコミュニケーション力であれば、傾聴力、読解力、記述力、提案力、議論力と項目を細かく分け、それぞれが5点満点で評価されます。
Chu活ボットの大きな特徴
そして「異なる分野の専門家との交流やコラボレーションの機会を増やす」「新たな技術やトレンドに対する情報収集を強化し、それを自身の知識やプロジェクトに適用する方法を考える」といった次にすべきアクションを示してくれることも、Chu活ボットの大きな特徴です。 こうしたフィードバックや面接の対話履歴は、すべてテキストデータ化されるため、振り返りにも役立ちます。 五十嵐課長は「本学では、学生のコンピテンシー(=社会で活躍するために必要な力)として『コミュニケーション力』や『問題解決力』といった7つのカテゴリーで31個のキーワードを設定し、各キーワードにレベル0からレベル5までの評価基準を設けています(理工学部では、これに学科別の『専門性』が加わります)。開発者の水谷さんは、この大学が作ったコンピテンシーとAI技術を組み合わせることによって、就活生にとって自己の振り返りが簡単にできる機能を盛り込んだシステムを生み出してくれました」と話します。 面接に慣れていない学生はまずChu活ボットで予行練習を行い、そのうえでキャリアコンサルタントや技術系で活躍している先輩リクルーターなどの模擬面接を受けることで、より効率的な面接練習が期待できるといいます。 「Chu活ボットは、聞かれたことにすぐに答えるスキルを高めることに加え、自分の弱点を強化するのにも役立ちます。今後は、現在は対面でしか利用できないChu活ボットのオンライン利用や、エントリーシートの添削サービス等の対応についても検討していきたいと考えています」(五十嵐課長)