京都駅「改良事業」で混雑緩和 しかし、原案では解決できない問題とは?
直通化によるダイヤと時間短縮効果
直通化した場合の想定ダイヤを作成し、時間短縮効果を試算した。 奈良線内のダイヤはほぼ現行通りとした。単線区間解消によりダイヤの自由度が増した嵯峨野線内は、奈良線のダイヤをそのまま延長した形とし、普通列車の半数を嵯峨嵐山折り返しとする代わりに嵯峨嵐山で快速に接続とし、快速を馬堀にも停車とした。 また、特急列車は2分以内の時刻修正にとどめ、おおむね現行通りとした。
京都観光、最大30分も時短効果
このように組んだ結果、嵯峨野線の京都市内の各駅~奈良線の京都市内の各駅間では最大13分、平均10分程度の時間短縮効果になることがわかった。 特に嵯峨野線から奈良へ行くケースでは最大38分、奈良線からトロッコ列車などがある馬堀へは最大26分もの時間短縮効果となった。 主な区間の所要時間は、 ・太秦~稲荷間:30~31分 → 19~22分(最大12分短縮) ・馬堀~東福寺間:33~48分 → 22~27分(最大26分短縮) ・嵯峨嵐山~宇治間:42~51分 → 30~39分(最大21分短縮) ・二条~奈良間:69~88分 → 50~52分(最大38分短縮) このように10~30分も変わるなら、嵯峨野線・奈良線相互の行き来が増えるのはもちろんのこと、1駅降りた後の訪問施設数も1か所ずつは増えることだろう。1か所増えるだけでも人数を考えれば相当な観光消費額の増加につながるはずだ。嵐山の人力車のお兄さんに 「竹林の方までよろちくりん♪」 とお願いしてみる余裕も生まれるかもしれない。 乗り換えの解消とこれほどの時間短縮なら、JR東なら直通列車に対して「京都洛楽ライン」なんて名付けて楽々さをPRするんじゃなかろうか。そして乗り換え客の減少にも一定の貢献を果たし、コンコースの混雑緩和にもつながるだろう。
北村幸太郎(鉄道ジャーナリスト)