京都駅「改良事業」で混雑緩和 しかし、原案では解決できない問題とは?
京都駅直通化の鍵
嵯峨野線と奈良線、直通化にあたってどこで線路をつなげて乗り場を作るかが課題だ。これには 「駅の重層化」 が必要と筆者は考えている。 ・1階:既設線 ・2階:コンコース ・3階:新線 を作る。東武の北千住駅のような構造である。現在の2番乗り場ホームの真上に奈良方面の本線、3番乗り場~4番乗り場の間の4本の線路の真上に島式ホーム2面と中線1線、5番乗り場の真上に嵐山方面の本線を設置する形なら、ホーム幅やコンコースへの階段の取り付け位置を考えると好都合だろう。 現在線からのアプローチだが、嵯峨野線側は現在の高架複線の終点から勾配を上がり、大宮通の橋をまたいで京都駅3階に取り付ける。 この途中で回送線との合流アプローチも設置する。大宮通~京都駅間は3線の高架にする必要があるが、これまで京都駅手前の数百メートルだけ単線だった(しかも特急「はるか」とも共用させられていた)嵯峨野線のダイヤ設定の自由度は格段に高まるだろう。
直通化にあたって乗り場集約
奈良線側は東海道新幹線をくぐったところから上り勾配を始めて京都駅3階に取り付ける。この際、竹田街道の橋を支障すると思われるが、ここは西武池袋線や東急東横線などで実績がある逆立体交差化工事により、橋でまたいでいたのを地下に変更するといった工事で乗り切ることになるだろう。 嵯峨野線・奈良線直通化を本当にやろうと思うとかなり大掛かりな工事にはなるが、どれも成功前例がある工事ばかりである。 また、この乗り場の重層化ならびに集約化により、嵯峨野線乗り場を駅ナカに転用したり、奈良線乗り場の跡地はかなり広く取れたりするだろうから、駅ビルあるいはホテル開発にもってこいだ。 こうした開発利益もセットで考えて費用対効果をご検討いただきたいものである。JR東だって既設新幹線高架橋の真上に上野東京ラインを作って尾久と田町の車庫を集約化し、空いた車庫用地で街づくりをしている。