東京は地方より歩く街だった…「歩くことが当然」で疲れてしまう納得の理由
まだまだ東京では歩きそうです
というわけで、電車を中心とする東京の街は必然的に「歩く街」になったわけだ。悲しい。 それに加えて、昨今では都心一極集中に伴う人口増加もあるし、インバウンド観光客の爆増もある。カフェにしたって、レストランにしたってどこも混んでいて、「ちょっと一休み」ができない。そりゃあ、疲れるわけだ。 こうした都心の交通状況に対応するようにして生まれてきたのが、LUUPやHELLO CYCLINGをはじめとしたシェアリングモビリティーだろう。 特に都心部の場合、電車で移動するよりも、こうしたシェアリングモビリティーを使って移動した方が早い場合も多々ある。特に、異なる鉄道会社の近い駅を行き来するには、これらを使った方が断然早い。ある意味、鉄道中心のハードな都市をソフトに行き来するモビリティーとして、その価値はある。 しかし、ご存じのように、こうしたシェアリングモビリティーは現在の交通状況の中で馴染みにくく、特に電動キックボードを主軸に展開するLUUPは、かなり強い批判の矢面に立たされている。そのため、すぐに普及する……とはならないだろう。 それに、東京人はもはや歩くことにあまり抵抗もない。前編で指摘したように、東京に住んでいる人の83%は「徒歩15分ぐらいまでなら歩く」と答えている。 これは、私の知り合いの話であるが、駅の近くに住むと家賃が上がってしまうから、物件を探す際、必然的に「駅から15分」を選択肢に入れるという。東京は、生きているうちに歩くことが当たり前にならざるを得ない都市なのかもしれない。 いずれにしても、東京に住んでいる限りはまだまだ歩く必要があるのは変わらなそうだ。 まあ、歩かないよりは歩いたほうがいいし、逆に地方・郊外で展開するイオンのショッピングモールが「イオン・ウォーキング」としてモール内を歩く取り組みを始めたりもしているから、「歩ける環境」に感謝する……というのも、東京を生き抜く一つの知恵かもしれない。
谷頭 和希(都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家)