視聴ボイコットの動きも…テレビのニュースが「それでも毎日五輪ばかり流す」理由、人員削減も背景に
●「パリ五輪の本日のダイジェスト」が流れるのは「もったいない」から!?
テレビ業界関係者以外は知らない人も多いだろうが、そもそも五輪オフィシャルの競技映像は、各番組ごとに使える長さが厳格に決められている。 だから、番組側は「制限いっぱいまで使わないともったいない」と考えがちである。競技映像を目一杯使った「本日のダイジェスト」を毎日放送するのもそのような事情があるわけだ。 こうした説明を聞いてから、五輪ニュースを見てみると、次のような構成になっていることが多いことに気づく。 (1)ギリギリいっぱいまで伸ばした競技映像VTR (2)現地からの周辺取材とキャスター中継 (3)現地スタジオに呼んだ選手の生中継 (4)選手の地元の人たちや親類縁者、学校の後輩の反応 (1)と(2)は、何がなんでも毎日放送される。(3)と(4)も実は「横並びの競争原理」で必ず追加される。 これらがなぜ「横並びの競争原理」なのかというと、(3)は、生出演可能な選手の時間を分刻みで割り振って「何時何分から何分間どこどこの局、それが終わったら次はどこどこの局」と毎日取り合っているからで、そこに手を挙げなければ他局に負けてしまうという、まさに横並びの事情からも選手の生中継を「やらざるを得ない」部分があるのだ。 そして(4)も、その地元を管轄する地方局の間で各局横並びの競争になったり話し合いでの共同取材になったりするわけで、これも「やらなければ他局に遅れをとる」ということになってしまう。 結果的に、とにかく五輪の放送時間は長くなってしまう。 「ここまで長くやらなくても…」と視聴者が感じようが感じまいが、上述の「4点セット」は局側の事情でどうしてもやらざるを得ない。 4点セットではどうしても、負けた選手はスルーされてメダルを獲った選手にだけ脚光が当たることになるし、その選手の生い立ちや友人の話やサイドストーリーなど、取材される対象もだいたい同じような内容になりがちで、「各局の報道の仕方はいかがなものか」という批判の声も上がることになってしまう。