「登山へ行った夫が帰らない…」 日光の山中で発見された男性は別人で…捜索は思いも寄らない事態に【捜索現場のリアル】
リュックの中には
警察がWさんのリュックサックの中を確認したところ、ココヘリ(会員制の捜索ヘリサービス)の発信機が見つかった。 破損や水没の形跡はなく、電源が切れた状態になっていた。この当時、発信機は手動で電源スイッチのオンオフができる仕様となっており、スイッチがオフになっていたのである(なお、現在は常にオンの状態に固定されるように改良がなされた)。 リュックサックの中には、明らかにWさんのものではない飴の空袋などがたくさん入っていた。登山中に、山中に落ちていたゴミを拾いながら歩いていたのだろう。
Wさんの捜索中、遭難してから1週間近くを生き延びた人が救助され、行方不明のままであった遭難者のご遺体も発見することができた。 同じ山で遭難したふたりを家族の元に帰してから、自分は最後に家に帰ることを、Wさんは選んだのだろうか……。 責任感が強く、他人のため働くことに喜びを感じていたというWさんの人柄がしのばれた。 ※『「おかえり」と言える、その日まで 山岳遭難捜索の現場から』より一部抜粋・再構成。
デイリー新潮編集部
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