岸田政権はもはや転覆寸前…岸田首相を追い詰めている「意外なキーパーソン」の名前
公明党との溝
もはや岸田政権は転覆寸前とも言えるような状態だ。 自民党派閥による裏金問題を受けた政治資金規正法改正案を巡っては、自民が公明党や日本維新の会との修正協議で二転三転し、再修正が続いて衆院通過は6月6日までずれ込む始末。 【総選挙大予想】落選する「裏ガネ議員」全実名を大公開 こうした最中、岸田文雄首相が6月の衆議院解散を見送る調整に入ったと各メディアで報じられている。 これまで岸田首相は9月の自民党総裁選で「岸田降ろし」が起きて総理総裁の座から引きずり降ろされる前に衆議院を解散し、その後も総理を続ける算段でいたとされてきたが、こうした思惑が瓦解してしまったと言えるだろう。 なぜ岸田首相の思惑が崩れ去ってしまったのか。 その要因の1つとして、永田町では公明党の動きが指摘されている。 公明は政治資金規正法改正案を巡って、自民党が提示してきた政治資金パーティーのパーティー券購入者の公開基準「10万円超」が甘すぎるなどとして、共同提出から離脱。 その後、自民が法案を3年後に見直す規定を盛り込んだが、公明の山口那津男代表が5月30日のBS11の番組で修正が不十分という認識を示し、改めて「5万円超」への引き下げを求めた。 最終的に岸田首相が5月31日、山口代表と会談し「5万円超」の案を受け入れることとなったわけだ。 与党である自公の関係がかなりギクシャクし、それが岸田首相を追い詰めていることが見受けられるが、その原因として、実はあるキーパーソンの不在が挙げられている。
調整役がいない
永田町関係者は語る。 「政治資金規正法の改正を巡って自公の協議が難航した背景には、公明の高木陽介政調会長が4月中旬から病気のため休養していることが挙げられている。高木氏はこれまで国対委員長などを務め、自民の森山裕総務会長と昵懇であるなど、他党とのパイプ役を担ってきた。その高木氏の不在で自公間の根回しが機能せず、ここまでの紆余曲折が必要となってしまった」 裏金問題ではただでさえ自民に大逆風が吹いており、公明は風を凌ぐために自民との距離感を巡って難しい判断が迫られているが、さらにその上で重要な調整役がいなくなってしまったことによるダメージは大きかったようだ。 岸田首相が断念したと見られる衆議院の早期解散だが、これに対しても大きく反対していたのは公明だった。 公明は、大阪での維新との協力関係が崩れて次期衆院選は議席減がほぼ確実、次期代表と目される石井啓一幹事長が埼玉14区の小選挙区で勝ち上がれるかも危ぶまれている。政権支持率が低迷する現状での解散は公明にとっても致命傷になりかねない。 政権支持率を立て直した上での秋以降の解散を望んでおり、岸田首相も要望を飲まざるを得なくなったわけだ。 自公の調整が上手く働かなくなった結果、自民の対応に不満を募らせる公明。 岸田首相自身が事態の収拾のために動かざるを得なくなり、最後は公明に押し切られて、今度は岸田首相への自民内での不満が高まっている。 一方で官邸周辺によると、岸田首相は解散見送りに続いて退陣を英断するかと思いきや、総裁選に出馬して再選する気満々のようで、「再選した後はどんな政策をしようか考えているほど」だという。 しかし、岸田首相への批判は与党内でも公然と飛び交うような状況だ。 自民党総裁選に向けては混沌とした政局が続いていくだろう。 * 【もっと読む】「なぜ蓮舫氏はここへきて「都知事候補」となったのか? そのウラで起きている「意外な事態」」の記事では、都知事選と国政の関係について詳報している。
宮原 健太(ジャーナリスト)