創刊70年!日本で最も長く続くマンガ雑誌『なかよし』で…最初にヒットした「ペスよおをふれ」が巻き起こしていた”意外な犬種”ブーム
犬種ブームのはしりの犬
スピッツ、ということばから、皆さんは何を思いますか。ロビンソン? 空も飛べるはず? 草野マサムネ?…でも、日本を代表するメジャーバンドが誕生するまでは、スピッツといったら真っ白でとんがり鼻の犬のことでした。 【画像】全国の少女が涙した…「ペスよおをふれ」はこちら 私たちがイメージするつぶらな瞳のスピッツ犬は、じつは日本原産種です。1920年代頃に犬種が固定され、「日本スピッツ」という名で1948(昭和23)年に登録されています。 昭和30年代に大変な人気を博しながら、キャンキャン吠えて飼いづらい、とされて急速に人気が衰えたことでも知られています。現在、JKC(ジャパン・ケネル・クラブ)の年間登録数は1200頭ほど。トップのトイプードル(約8万頭)の登録数からみれば、希少種といえるでしょう。 日本は犬種による流行の波が大きい国です。コリー、マルチーズとポメラニアン、シベリアン・ハスキー、ラブラドール&ゴールデン・レトリーバー、ミニチュアダックスフンド、チワワ、トイプードル…、近年は黒柴を街でよく見かけます。そんな流行犬種のはしりが、終戦後~昭和30年代のスピッツでした。 犬種流行のきっかけには、特定のキャラクターが影響していることがあります。たとえばコリーの流行はアメリカの映画『家路』(1951年日本公開)に登場した“名犬ラッシー”によるものですし、シベリアン・ハスキーはコミック『動物のお医者さん』(佐々木倫子/白泉社、1987年~)の主人公の飼い犬「チョビ」、チワワはアイフルのCM(2002年~)に登場した愛くるしい「くぅ~ちゃん」が火付け役でした。 そして、スピッツブームを一挙に押し上げたのは、2024年12月に創刊70年を迎えた少女マンガ誌『なかよし』に1957(昭和32)年から連載され、当時の少女たちを毎号釘付けにした、ある少女マンガだったのです。
『なかよし』は、もしかしたら『りぼん』だった
1955(昭和30)年新年号を創刊号とする『なかよし』は、現在まで続く日本で最も歴史の長いマンガ誌です。 戦後のベビーブーム世代が就学年齢に達する昭和20年代末、児童雑誌市場は活況を呈していました。講談社には戦前からの児童雑誌『少女クラブ(旧・少女倶楽部)』『幼年クラブ』がありましたが、いずれも物語や実用記事が中心。 しかし世の中では急速にテレビが普及しだしていました。これからはビジュアルがメインとなる雑誌が必要になるーーそんな編集方針のもと、小学校3~5年生の少女を対象にした『なかよし』が創刊されます。 創刊にあたって編集部では新雑誌の誌名候補をいくつか出しました。実は当初の候補は「りぼん」だったのですが、化粧品会社が商標登録をしており、使用許諾をもらえなかった、という裏話が、「講談社100年史」には掲載されています。 『なかよし』の永遠のライバル誌となる『りぼん』が集英社から創刊になったのは、9ヵ月後の1955年9月。もしかしたら『なかよし』と『りぼん』の誌名が逆になっていたかもしれないと想像するのも面白いですね。
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