金魚:生活に溶け込んだ小さな美 江戸時代に人気沸騰
日本交配は約30種
日本で交配されて品種として確立したのは約30種。「大阪らんちゅう」は背びれと頭の肉腫がなく、鼻ひげのような鼻房がある愛嬌(あいきょう)のある顔立ちが特徴だ。第2次世界大戦で一時ほぼ全滅したが、交配などで復元された。
江戸後期に大阪らんちゅうと琉金を交配して生まれたとされるのが高知産の高級金魚「土佐錦魚(トサキン)」。尾びれは両側に広がり、外縁の先端は前方、下方にたなびいている。
愛知県の地金(ぢきん)、島根県の南京(なんきん)とともに県の天然記念物に指定されている。
日本交配種の「朱文金(しゅぶんきん)」は、赤・白・墨・あさぎ(薄い藍)など複数の色合いが混じった複雑な模様が最大の魅力。尾やひれは長く、優雅な印象を与える。
「江戸錦(えどにしき)」は丸っとした体形に短いひれが特徴だ。頭部に小さな肉腫がついており、色は赤や黒、浅葱色が複雑に混じる。
日本で生み出された品種は海外にも輸出されている。米国に初めて輸出されたのは1878年(明治11年)。金魚のふるさと中国では1970年代の文化大革命で金魚の生産が壊滅的になり、その後は日本産を元に品種改良が進められたとされる。 生産地の一つである、奈良県大和郡山市のサイトによると、飼い方のポイントは餌を多くあげすぎない、狭い容器に魚を入れすぎない、あまり水換えしないこと。狭い水槽にたくさん個体を入れると、酸素不足になってしまう。3分の1ぐらいずつ水換えし、夏は月2回、冬は月1回ほどが標準だ。餌は5分ほどで食べきれる量がちょうどいい。 ホームセンターに行くと、飼育用の水槽や金魚鉢、水草、ライトなど飼育セットが手軽にそろう。いろいろな種類の水草を入れてアクアリウムにしたり、泳ぐ姿が浮かび上がるようにライティングをしたりと、インテリアとしても楽しむこともできる。 一般的には金魚の寿命は10~15年ほどと言われているが、ギネス記録は43歳。英国の夫婦が飼っていたティッシュという名前の和金だった。
【Profile】
国分 瑠衣子 ライター。北海道新聞、繊維専門紙の記者を経て2019年に独立。社会部、業界紙の経験から経済・法律系メディアで取材、執筆。趣味はおいしい日本酒を探すこと。