宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すず…「阿修羅のごとく」で奇跡のキャストが実現した背景
尾野真千子が4姉妹のムードメーカー
――そこからどんな感じに進んだのですか。 八木P:出演のご了承はいただいたものの、皆さんお忙しい方ばかりなので4人が全員揃うスケジュール調整が大変でした。そして、2023年下半期だったら揃うかもということで、昨年8月中旬から4カ月半で撮影を行いました。 ――本作は膨大なセリフ量のテンポの良い掛け合いが見どころです。それを実現するためには姉妹の空気感を作ることが欠かせないと思うのですが、事前にそれを作る時間をしっかり設けたのですか。 八木P:撮影に入る前、まずは本読みのため4人にスタジオに集まっていただきました。最初から初対面と思えない空気感みたいなものを感じました。そして数日後には本当の姉妹みたいな関係性ができあがっていました。僕自身、蒼井優さん以外の3人はかつてご一緒したことがあるので、そのお人柄は存じ上げていましたが、俳優同士ってある意味難しいところもあるじゃないですか。周りからじゃ計り知れない、相性みたいなものとか。しかしすぐに早い段階からこれはうまくいきそうだなと確信しました。 ――キャスティングを考えるときには、役柄のイメージだけじゃなく、人柄、相性みたいなものも考えるのですか。 八木P:やっぱり人柄は大事ですよね。特にテレビドラマは演技力と同じぐらいそのお人柄が画面に出てしまいますから。 ――次女役の尾野真千子さんと父親役の國村隼さんは、八木さんが手掛けられたTBS日曜劇場「おやじの背中」(2014年/第6話「父の再婚、娘の離婚」橋部敦子脚本)でも父娘を演じられていますね。そこで尾野さんの現場を回す力みたいなものを感じたのでしょうか。 八木P:「おやじの背中」は國村さんとのほぼ2人のお芝居が多かったので座長的ではなかったんですが、尾野さんとはNHKさんでも度々ご一緒していたので、ムードメーカーになってくれるかなとは思っていました。(宮沢)りえさんも「協奏曲」(1996年)などいくつかの作品でご一緒しているので、長女と次女がこういうお人柄なら大丈夫かな、と。実際に4人が集まってみると、1+1+1+1が4じゃなく、それ以上のパワーでした。