ミャンマー人がタイの人口の10分の1を占めるようになった理由、クーデターで資本・人材流出、タイに市場形成
この徴兵はすべての国民が対象であり、富裕層であっても逃れることはできません。現在、徴兵対象の年齢に該当している人はもちろん、将来的に徴兵対象となりうる子供を持つ家庭も、不安を抱えています。 とくに、学校に通う子供たちの将来を心配した富裕層が、生活環境がミャンマーに近いタイへ家族全員で移住するケースが急増しているようです。 Media Intelligence Group(MIグループ)が行ったタイにおけるミャンマー労働者の行動調査によると、現在、タイには約680万人のミャンマー労働者がいるものの、労働許可を得ているのは約185万人にすぎず、多くは未登録労働者であるとも報告されています。
■タイの10人に1人はミャンマー人という現実 タイ内務省の発表によると、2022年時点でタイの人口は6609万人です。つまり、タイの人口の10人に1人はミャンマー人という計算になります。 業種別では、ミャンマー人労働者の39%が製造業、18%が建設業、15%が販売サービス業、11%が農業に従事しています。9割近くの人が経済的な理由でタイに移住しており、ミャンマーでの月収が1000~5000バーツ(約4433円~約2万2177円)と非常に低いのに対し、タイでの月収は1万~1万5000バーツ(約4万4330円~約6万6552円)とされ、場合によってはミャンマーでの収入の10倍以上になることもあるようです。
タイは、ミャンマー人にとってブルーワーカーなどの出稼ぎの場でありましたが、クーデター、そして徴兵の施行に伴い、ミャンマー人富裕層だけでなく、生活の場としてタイを選ぶミャンマー人中間層も増え始め、新たな市場が形成されつつあります。 「バンコクには新たなビジネスチャンスが到来している!」と話すのは、居酒屋「しゃかりき」など、タイ・バンコクを中心にカンボジアやマレーシアなどを含め、計34店舗の飲食店を運営し、「タイの居酒屋王」とも呼ばれる清水友彦社長です。